劇場公開日 1989年11月17日

悲愴のレビュー・感想・評価

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3.5理性への信頼を貫くことが困難な時代に

2017年2月6日
PCから投稿

悲しい

DVD化されていないクシシュトフ・ザヌーシ監督の作品を、VHSの中古品を取り寄せて鑑賞した。
人間の理性を根拠に、戦争は起きないだろうという見解を示した主人公は、他者からは楽観主義だと指摘を受ける。恐らくは今、同じことを主張したとしたら、同じように非難されるかもしれない。それでも理性を信じ、貫いた人間の悲劇とかすかな希望を、静かに見つめ、後世に語り継ごうとする監督の姿勢が感じられる。
主人公は正気を失った妻の理性が失われていないことを最後まで信じ抜き、妻が最後を迎えるその瞬間に、それは現実のものとなる。そこに、監督の強い理性への信頼を感じた。
今、この不安定な時代にこそ見直す価値のある作品である。

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Masa_king01