劇場公開日 2022年12月30日

  • 予告編を見る

「幻想的ロマンティシズムの美しさを極めた詩人ジャン・コクトーの映像の魔術」美女と野獣(1946) Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5幻想的ロマンティシズムの美しさを極めた詩人ジャン・コクトーの映像の魔術

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

詩人ジャン・コクトーを初めて知ったのは、17歳の時に偶然鑑賞することが出来た「オルフェ」だった。詩人が映画を撮るとイマジネーション豊かな映像の世界が繰り広げられて、凡人には想像できない表現があるのかと度肝を抜かれ、大変なショックを受けた。それからコクトーの詩集を一冊買って読んでみたら、ほとんど理解できずに読み終わってしまった。これは無理と想い、映画監督のコクトーだけにしようと決めたのだが、作品数は少なくその機会も限られて疎遠になる。
ただ、「オルフェ」とこの「美女と野獣」の二作品だけでも、ジャン・コクトーの偉大さは私にも理解できるのが、負け惜しみ含めて嬉しい。
童話の物語を大人の為の映画にした、この作品の幻想的ロマンティシズムを何と表現しよう。計算尽くされた照明、凝った配置の調度品などの舞台装置の完璧さ、そして撮影技術を駆使した映像美の拘りと、すべてが美しさのために創造されている。こんな映画を作れるのは、過去にも現在にもいない。詩人コクトーが映画を監督してくれたことに、ただただ感謝するしかない。
  1986年 7月18日

Gustav