劇場公開日 2022年10月21日

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「単なるビリヤード映画ではなく、主人公の変化を硬派に描いたヒューマンドラマ」ハスラー ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5単なるビリヤード映画ではなく、主人公の変化を硬派に描いたヒューマンドラマ

2020年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

誰もが一度はそのタイトルを聞いたことがあるはずなのに、なかなか手が出せない。「大人になった時に見よう」と思いながら、すっかり大人になってもまだ見ていない。そんな人も多いはず。確かにとっつき易いとは言い難い。カラー時代にもかかわらずモノクロを突き通し、しかもポール・ニューマンのアクターズスタジオ仕込みの、体の芯から本人になりきった演技に頼るところも多い。

だが、40年代末から始まる赤狩りの影響を受け、50年代は苦難を強いられたロッセン監督のキャリアを思うと、主人公の人生が重なって見えてくる節がある。自分の得意とする分野の腕前でのし上がろうとし、そこで思いがけない躓きがあって、今度は自分を利用しようとする他人の口車に乗せられてさらに精神的などん底を経験する。だがこの一件によって何かが変わる。彼も変わる。本作は単なるビリヤード映画ではない。そうやって変わりゆく姿を実直に捉えた硬派な一作なのだ。

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牛津厚信