熱帯魚
劇場公開日:2019年8月17日
解説
台湾のチェン・ユーシュン監督が1995年に発表した長編デビュー作で、誘拐事件に巻き込まれた少年と誘拐犯一家の不思議な交流をユーモラスにつづった人間ドラマ。台北で暮らす夢見がちな中学生ツーチャンは、受験を控えたある日、誘拐事件に遭遇し被害者の少年と一緒に連れ去られてしまう。主犯格の男は2人を手下の優しい男アケンに預けて身代金を受け取りに行くが、その途中で交通事故に遭い死んでしまう。困り果てたアケンは、自分の家族が暮らす南部の漁村へ2人を連れて行くことに。台北では誘拐報道がヒートアップする中、不意に訪れた夏休みのような不思議な時間を過ごすツーチャンだったが……。第48回ロカルノ国際映画祭で青豹賞、第32回金馬奨で最優秀脚本賞・最優秀助演女優賞を受賞した。2019年8月、新宿K's cinemaほかにてデジタルリストア版が上映。
1995年製作/108分/台湾
原題:熱蔕魚 Tropical Fish
配給:オリオフィルムズ、竹書房
日本初公開:1997年4月5日
スタッフ・キャスト
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2020年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ストーリーを繋いでいるのが、不思議な体験コーナーを設けているDJとTVニュース。ツーチャンは自らが超人になる夢を見て、好きな女の子にも手紙を渡せずにいたが、不思議体験DJの常連でサロマン王というラジオネームを持っていた。高校受験1ヵ月前だというのに、ゲーセン通い。そこの子どもチャンピオンであるワンが誘拐されたのだ。後を追うようにトラックに乗り込んだツーチャンは自らも誘拐されてしまう。
学歴社会でもある台湾の高校入試は夏頃?頭が朦朧とするような暑さの中での受験だ。ツーチャンは合格ラインに達していなくて、受験なんてどうでもよくなっている中の誘拐騒動。しかし、世間はツーチャンの受験についての議論が過熱。誘拐犯家族も勉強させるために教科書を集めたりしていた。
主犯の男が交通事故死という突拍子もないストーリーだったけど、中盤以降はのんびりした港町での生活に夏休みをエンジョイしているかのよう。共犯のアケンは「俺みたいな悪いやつになるな」などとアドバイスをくれるし、身代金は欲しいが受験はさせてやりたいという思いも伝わってくる。
夢の中での海底探検。ワン少年も一緒になって夢を食べる魚の話に夢中だ。浸水した家庭での不思議な体験や現実離れしているかのようなTVキャスターの話。夢が許される中学生から高校生になる境界線にあって、薄幸の少女チュエンにも興味を持つ。熱帯魚なんていない!という夢のない話や貧しさの現実を知り、彼の心も宙に浮いているかのようだった。何より、好きな女の子が有名人に群がり失神したというニュースが引き金となったんだろうなぁ・・・
2019年9月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
少年が大人になってしまう間際の話。 水中の世界が少年時代の暗喩なら、誘拐された浸水している場所は、まさに大人になってしまう境界線だ。(浸水したなかで誘拐犯の家族と食事をする場面は幻想的だ。)
少年が大人になっていく過程のちょっとした切なさを描いた傑作だと思いました。
ちなみに『祝宴!シェフ』と同じ監督だと知って驚いた。勝手な願望だけど、今後は『熱帯魚』みたいな作品を撮ってほしいなあ。
2019年8月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
お受験中学生版ソナチネ、みたいだった。妄想世界とか台湾の風情、人間性もとても好み。でも大事なことは画で語ってほしいとも思った。その点初期北野武は偉大。
2019年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
何を問いたいのかが今一つ。ラスト、誘拐された少年が受験のために会場へ向かう場面は、
台湾の受験戦争の過熱ぶりが垣間見えたが、どうも作品の過程における作品の「求心力」は、私にはあまり感じられなかったのが残念。ほかの著名な方のこの作品「素晴らしさ」が
感じられなかった。途中、眠気に根負けしたのが、最悪の感想を招いたのだろう。
パンフレットが手に入らなかったのも、この作品における監督の思いを知ることができなかったのは惜しい気がする。題名「熱帯魚」の意味合いもはっきりとした私の見る前の期待、ワクワク感とは、ずれていた。