尼僧物語

劇場公開日:

解説

キャサリン・ヒューム女史のベストセラー小説をもとに、「オクラホマ!」「地上より永遠に」のフレッド・ジンネマン監督が作った1人の修道尼の物語。脚色はロバート・アンダーソンがあたり、撮影したのは「ローマの休日」のフランツ・プラナー。音楽はフランツ・ワックスマンが担当している。出演するのは「緑の館」のオードリー・ヘップバーン、「ダイヤモンド作戦」のピーター・フィンチ、「レイテ沖海空戦 永遠の海原」のディーン・ジャガー、「ベビイドール」のミルドレッド・ダンノック、ディムの称号をもつ英国女優エディス・エバンスとディム・ペギー・アシュクロフト、パトリシア・コリンジ、ルース・ホワイト、パトリシア・ボスワースら。製作ヘンリー・ブランク。

1959年製作/アメリカ
原題:The Nun's Story
配給:ワーナー・ブラザース

ストーリー

ベルギーの都会ブルージスの家を棄てて、ガブリエル・バン・デル・マル(オードリー・ヘップバーン)は修道院に入った。医師として有名な父バン・デル・マル博士をはじめ、弟妹たちや恋人ジャンの住む俗世との縁を絶って、修道志願女としての彼女の生活が始まった。師長のシスター・マルガリタや、シスター・ウィリアム、修道院長マザー・エマニュエルのもとで、厳しい修道の日日が彼女に課せられる。沈黙、謙譲と没我、絶えざる反省と自己叱責の連続に、落伍していく修道志願女たちもあった。正式の見習尼となる前の日、ガブリエルは、俗世と自分を結ぶ唯一のきずなであるジャンに贈られた黄金の飾りのついた鉛筆を捨てた。こうして、彼女は見習尼となり、シスター・ルークの名を与えられた。彼女の望みは、やがて看護尼としてコンゴに派遣されることだった。熱帯医学の学校にやらされることになった彼女は、そこで、かつてコンゴにいたことのある、同じコンゴ行きを望むシスター・ポーリンとの反目に苦しんだ。マザー・マルセラは、彼女に謙譲の心を示すために、わざと試験に失敗することができるかと聞いた。しかし、苦しみの末、結局彼女は優秀な成績で試験に合格し、シスター・ポーリンとともに学校を卒業した。ブリュセル近郊の精神病療養所での奉仕の生活を経て、彼女は、かねて望みのコンゴに派遣された。シスター・ルークはここでヨーロッパ人病棟を受けもたされた。外科医フォルテュナティ博士(ピーター・フィンチ)の下で働くこととなった彼女は、無神論者ではあるが磊落な彼の人柄に何かひかれるものを覚えた。博士の有能な助手として、彼女の仕事は休む暇もなかった。ハンセン病患者収容所を経営するブエルミュレ神父を奥地に訪ねたり、現地民の青年イルンガを寛容の心によって信仰に帰依させたりして、彼女の生活は続いた。過労による結核菌の感染もフォルテュナティ博士の手あてによってなおった。だが、シスター・ルークはベルギーに呼びもどされた。故国はナチスの軍隊にふみにじられようとしていた。しかし聖職者は地下運動に参加を禁じられていた。父が死んだ報せを聞き、かねてから教えの道に忠実であろうとすればするほど苦しみを重ねてきた彼女は、遂に修道院を出ることに意を決した。必要書類にサインし、自室で元の衣服に着がえた彼女は、1人静かに修道院の扉をあけ、街路に歩を進めた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第32回 アカデミー賞(1960年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 フレッド・ジンネマン
女優賞 オードリー・ヘプバーン
脚色賞 ロバート・アンダーソン
撮影賞(カラー) フランツ・プラナー
編集賞 ウォルター・トンプソン
作曲賞(ドラマ/コメディ) フランツ・ワックスマン
音響賞  

第17回 ゴールデングローブ賞(1960年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演女優賞(ドラマ) オードリー・ヘプバーン
最優秀助演女優賞 イーディス・エバンス
最優秀監督賞 フレッド・ジンネマン
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映画レビュー

3.0この作品では、仕方がない事だが、 ジバンシイを着ない。 白い修道服...

2023年2月1日
スマートフォンから投稿

この作品では、仕方がない事だが、
ジバンシイを着ない。
白い修道服で過ごしていて、笑わない。
終始浮かない表情だったのがわかった。
修道服を脱ぎ出て行く。
自分は神に仕える資格が無いと。

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りか

4.0内なる沈黙

2023年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

オードリーヘップバーン扮するガブリエルバンダマルは、コンゴへ行きたいと希望して修道女になろうと父親と家を出た。

娘が希望すれば親としては望みをかなえてやりたいと思えど、それが厳しい生活を強いられる修道女とはたまらんだろうね。大切なのは内なる沈黙。沈黙を極めてこそ神との対話が可能だと言う。日々休みなく戒律を守り不完全な自己を磨き生涯従順を貫くなんて凄いね。改めて宗教の力は強い。落第する事すら献上の美徳の様だ。自尊心を現してはいけないってなんか酷いよね。

この時オードリーは30歳かな。修道女姿も素敵だね。

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重

5.06000人位の子供が教育の元、殺されている。

2022年7月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

教会運営の寄宿学校が、カナダ政府の同化政策に協力し、先住民(ネイティブアメリカン)の子供を強制的に移住層させ、そこで虐待していた。と言う事実が報じられ、ローマ法王が謝罪の旅をしているとの事。6000人位の子供が教育の元、殺されている。勿論、尼僧ばかりではないだろうが、同化政策なんてそんなもの。日本でも同じ事をやっているが、宮司がお詫びの旅に出たと言う話は聞かない。
この尼僧の訪れるコンゴは当時ベルギー領で同化政策は必須だった。ましてや、第二次世界大戦が開戦間近。
まぁ、彼女は最初から看護師になれば良いのにと、ガキ(中2)頃思ったが、彼女を『すごいな』と思ったのを覚えている。最後が第三の男のリバースだなぁ。と感動した。
内容は兎も角、傑作にしないわけにはいかない。ガキの僕が泣けたのだから。ここのオードリ・ヘップバーンが一番キレイだが、薄化粧だからだろうな。

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マサシ

2.0脱・尼僧物語だったが…

2022年7月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「山河遙かなり」「地上より永遠に」に続いて
観たが、この映画は
フレッド・ジンネマン監督作品としては
初鑑賞。

長い作品だったが、
服従が絶対とか、
過去を棄てさせるとか、
そんな教義が
今でも生きているのだろうかと考えたり、
そもそも男女同権の現代でも
このような修道院はまだ存在するのだろうか
とか、疑問を持ちながらだったので、
一応集中を切らさず鑑賞はしたものの、
約2時間半の上映時間の
特に前半のほとんどが、
修道女の厳しい戒律の世界が
描かれ続けたのにはさすがに閉口した。

ジンネマン監督はこの作品で
何を描きたかったのか。

閉ざされた修道院の非人間的環境なのか、
植民地における支配国民と被支配国民の
格差だったのか。

しかし、徐々に主人公の
信仰と看護の間での葛藤色が強くなり、
終いには世俗的な医師の影響もあって、
最終的に、脱・尼僧の決断を下す。
ナチスによるベルギー侵攻や
父の死を前提とすると、
レジスタンスの看護スタッフとして
信仰よりも大切なことを見出す一人の女性の
生き様を描いた作品なのだろう。

しかし、全体としては切れ味の悪い
冗長なイメージで、長い割には、
先にコンゴに行った同僚との再会や、
彼女の本質を見抜いたコンゴの医師の元に
戻りたいとの想いをどうしたのか、
との描写が無く、
「地上より永遠に」で見せた
各要素を上手く絡ませる構成が欠けており、
重層感が不足してしまった印象だった。

ところで、晩年はユネスコの特使として
活躍したヘップバーンだが、
この作品での経験が大きかったのだろうか。

それにしても、
こんなに笑顔のほぼ無いヘップバーンの
映画もほとんど無かったように思うのだが。

さて、
修道院の戒律が前面に出たこの手の作品は
私にとって苦手の部類だろうが、
たまたま一つ前に観た同じジンネマン監督の
「地上より永遠に」でのデボラ・カーが主演の
「黒水仙」という作品もあるし、
「尼僧ヨアンナ」という
名高いポーランド映画もあり、
観るか観ないか迷ってしまった。

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