冬冬(トントン)の夏休み
劇場公開日:2016年5月21日
解説
台湾の名匠ホウ・シャオシェンが、祖父の住む田舎でひと夏を過ごす幼い兄妹の姿を通し、自然の美しさや子どもたちの友情をみずみずしく描いた名作ドラマ。台北の小学校を卒業したトントンは、母が入院したため、幼い妹と2人で夏休みを田舎の祖父の家で過ごすことに。近所の子どもたちともすぐに仲良くなり、トントンは田畑を駆け回って楽しいひと夏を過ごす。一方、妹のティンティンはなかなか仲間に加えてもらうことができず、兄たちにいたずらをしたりして過ごしていたが、やがて台北から父親が迎えにきて……。兄妹の父親役で、「恐怖分子」「ヤンヤン 夏の想い出」などで知られる映画監督のエドワード・ヤンが出演している。1990年に日本初公開され、2016年デジタルリマスター版が公開。
1984年製作/98分/台湾
原題:冬冬的暇期
配給:熱帯美術館
日本初公開:1990年8月25日
スタッフ・キャスト
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まるで1970年代の日本の田舎のような風景にノスタルジーを感じてしまう癒し系の映画だ。外の風景だけでなく、主人公の少年が夏休み中に住む祖父の家も日本家屋そのものだ。
肝心のストーリーはまとまりのないちぐはぐ感は否めない。環境映画のようでもあるが、事件は色々と起こる。ただ、結局は何事もなかったように過ぎ去ってしまうので、やや肩透かし感もあるが、あえてドラマチックな展開を避けたのかもしれない。主人公の母親が死ななかったのも、妹が列車にひかれなかったのも、親しくなった田舎の子供が川で溺れなかったのも、その表れだったのかもしれない。
主人公の少年が地元の少年たちと仲良くなるエピソードは面白いが、地元の少年たちの顔のアップが余りないせいか、主人公との親密感がイマイチ感じられない。
また、主人公の妹がかわいそうだ。少年たちの仲間に入れてもらえず、最後は慕っていた冬子に呼びかけても無視されてしまった(聞こえなかったか?)。
2021年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー 今作では、冬冬のお母さんが、病弱の、為妹と一緒にお爺さんの家に一夏、一時的にお世話になる風景が淡々と描かれている。ー
◆感想
・何か大きな出来事が起きる訳でもない。
・冬冬が、幼き妹と、一夏お爺さんの家で過ごすシーンが淡々と描かれる。
<小津監督の風合を感じさせる作品である。
違いは主人公が少年であるという事。
何となく、北野監督の「菊次郎の夏」の前半を想起させる作品である。>
侯孝賢の映画を初めて見た。
子供が主人公だから私の嫌いなファミリードラマとは思ったけど、それほどファミリードラマではなかった。はじめのうち、これは学園祭で見る学生が作った映画と同じ雰囲気でアマチュアチックだなと思った。そしてストーリーも本当にアマチュアライターが書くような感じの素朴なエピソードの積み重ねで。しかしそれが 何か別なことも積み重ねていたようで最後にはとても感動した。単に小さなトーリーの積み重ねで終わるのではなくクライマックスにそれなりに大きなストーリーが入っているのでこれだけ脚本として成功しているのだと思う。お兄ちゃんのエピソードと妹のエピソードのバランスも良かったな。全体に登場人物たちのエピソードのバランスが良かったと思う。そしてファミリードラマファミリードラマしないように工夫がなされていたと思う。親子が直接会話するという場面がとても少ないとか。この映画は作家の魂が入っていて作家としての本質的なメッセージが全て詰まっていると思った。
そしてそのメッセージや全体ストーリー構成が宮崎駿のとなりのトトロにとても似ていると思った。ついでに言うと紅の豚も同じストーリー構成となっている。気になったので調べてみたら冬冬の方がトトロよりも4年も早かった。侯孝賢、えらい。これを見たおかげでトトロの評価が10%~20%ほど下がったな。冬冬が有名な映画だけに。
写真的には古いフィルムカメラの良さがとても出ていて味わいのあるいい映像が撮れてたと思う。またその写真とカメラワークがとても合っていた。
映画監督よ映画はフィルムカメラで撮ってくれ。
この映画、トトロと同じ構造の映画に感じられました。障害のある女性はトトロの役割。