ドイツチェーンソー大量虐殺

解説

統一後のドイツを舞台に経済競争から脱落した西ドイツの食肉業者一家の、東ドイツから流入してくる人々に対する暴力的行動を通して、民主主義や国民国家の欺瞞、今なお生きているナチズム、スターリニズム、民主主義といった問題を容赦なく浮き彫りにした異色作。監督・脚本・撮影(フォクシ・ヴェーレンクラウと共同)はマスコミに“R・W・ファスビンダー以来のドイツ映画界の問題児”と称されたクリストフ・シュリンゲンズィーフ。本作は監督自ら「ドイツ三部作」と呼ぶ作品の一本。製作はクリスティアン・フュルスト。音楽はシュリンゲンズィーフ作品を数々手掛けているジャック・アルル。美術はウリ・ハニッシュ。編集はアリアーネ・トラウブ。出演は「奇跡の海」や多数のファスビンダー作品などで知られるウド・キアー(助監督も担当)ほか。96年ドイツ文化センターでのクリストフ・シュリンゲンズィーフ映画祭でも上映された。

1990年製作/63分/ドイツ
原題:Das Deutsche Kettensaager Massaker

ストーリー

東西ドイツの統一後、東独から西独へ流れ込んだ数十万人のうち4%が現在も行方不明であるという事実を基に、それらの人々が西独にソーセージにさせられたという仮説から話は進行する。ある食肉業者の一家は、経営悪化等から工場の閉鎖を余儀なくされているが、そんな中で、さらなる拡大再生産と血統至上主義に侵された生活を送っている。西側でおちあっていた東ドイツ人のカップルの情事の現場を発見した一家は、彼らをチェーンソーで襲撃し、男は逃げたが、女を拉致することに成功する。その後も、東から来る人々を見つけては殺害し、工場で死体をソーセージへと加工していく。一家の内部では暴力と狂気によって、その異常性をエスカレートさせる一方であった。一家のスキを突いて女は脱出を試み、女を救う機会をうかがっていた男の出現もあり、半ば偶然に一家を撃退し逃げる。ラスト、一家の母の「思想は完全だ」という声が皮肉に響く。

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スタッフ・キャスト

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