劇場公開日 1960年4月28日

「米国特撮界の巨人L・B・アボットの偉業のひとつです 特撮ファンなら観ておかないとならない作品です」地底探検 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0米国特撮界の巨人L・B・アボットの偉業のひとつです 特撮ファンなら観ておかないとならない作品です

2022年1月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

ご存知ジュール・ベルヌの小説「地底旅行」の映画化です

原題はJourney to the Center of the Earth
ディズニーシーにも「センター・オブ・ジ・アース」というアトラクションが在りますよね
あれも同じ原作からのものです
だって向いのアトラクションは「海底2万哩」じゃないですか
でもディズニーシーのものは、原作とも本作とも設定がかなり離れて別物になっています
2008年の映画「センター・オブ・ジ・アース」はディズニー製作でなくワーナーブラザーズですから、これもベルヌの原作の方に準拠していますが、アトラクションとは遠い内容です
ということでディズニーシーのアトラクションの設定と一致する映画は今のところありません

本作の物語は概ね原作に準拠しています
ただリンデンブロック博士はドイツはハンブルクの人のはずですが、なぜかイギリスはスコットランドのエディンバラの高名な学者という設定に替えられています
女性を二人、敵対する悪役を登場人物に追加して
なかなか面白く最後まで飽きずに観ることがてまきます
突っ込み処は、現代人からしたらあり過ぎですが、それも楽しむ心構えで観る映画です
なにしろ原作は日本で言えば幕末の頃のSF小説なんですから

若手学者の二枚目アレック役はパット・ブーンです
この人はオールディーズポップス好きなら絶対に知っている1957年の大ヒット曲「砂に書いたラブレター」を歌っている人です
本作は1959年の公開作品ですから、その余韻がまだあって歌のシーンが序盤早々にあるわけです

劇判音楽もバーナード・ハーマンでなかなか良いです
1960年代の原潜シービュー号などのSF映画の劇判の手本になったと思われます

特撮はL・B・アボット
この人もレイ・ハリーハウゼンに並ぶ米国特撮界の巨人です
彼の関わった作品を列挙するとご覧の通りの重要作品ばかり

地球の静止する日、地球の危機、ミクロの決死圏、猿の惑星、ポセイドン・アドベンチャー、タワーリング・インフェルノ
テレビなら、原子力潜水艦シービュー号、宇宙家族ロビンソン、タイムトンネル
もの凄いラインナップです!

彼は1908年生まれ
レイ・ハリーハウゼンは1920年の生まれ
円谷英二は1901年生まれです

本作は彼の偉業のひとつです
特撮ファンなら観ておかないとならない作品です

蛇足
ターザンの原作者として有名なエドガー・ライス・バローズの地底世界シリーズ、別名ペルシダーシリーズというSFファタジー小説があります
こちらも本作やディズニーシーのアトラクションとは全く関係ありません
第1巻「地底の世界ペルシダー」は1914年からの米国の小説誌に連載され1922年刊行されています
創元推理文庫から日本語訳がでていますから、古いオタクならもちろん読んでいるはずです
こちらは1976年に英国で「地底王国」の題名で映画化されています

あき240