ため息つかせて

劇場公開日:

解説

4人の黒人女性の友情と彼らの悩みを通して、前向きに生きる女性群像を描いた一編。原作はテリー・マクミランの同名ベストセラー小説(邦訳・新潮文庫)で、彼女と「デンジャラス・マインド 卒業の日まで」のロナルド・バスが共同で脚色、2人はエグゼクティヴ・プロデューサーも務めている。監督には「バード」「スモーク」などの俳優フォレスト・ウィテカーで、TVムービー『ハード・ジャスティス』(V)に続いて劇場用映画を初演出した。製作は「エイリアン3」のデボラ・シンラーと「キスへのプレリュード」のエズラ・スワードロウ、撮影はウィテカーが出演した「レイジ・イン・ハーレム」も担当した栗田豊通。ポップス界の大物ケネス・“ベイビーフェイス”・エドモンズが初の映画音楽を手掛け、アレサ・フランクリン、チャカ・カーンら豪華アーティストの曲が全編に流れる。美術は「ボビー・フィッシャーを探して」のデイヴィッド・グロプマン、編集は「マイ・ライフ」のリチャード・チュウ、衣裳は「めぐり逢えたら」のジュディ・L・ラスキンが担当。主演は「ボディガード(1992)」のホイットニー・ヒューストンで、トップシンガーである彼女が歌う主題歌『ため息つかせて』ほか3曲も聴きもの。共演は「ティナ」のアンジェラ・バセットほか。

1995年製作/121分/アメリカ
原題:Waiting to Exhale
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:1996年3月30日

ストーリー

サヴァンナ(ホイットニー・ヒューストン)はTVプロデューサーとしての成功と理想の男性を射止める夢を実現するため、大晦日にデンバーから親友バーナディン(アンジェラ・バセット)のいるフェニックスに引っ越してきた。その日、バーナディンは11年間連れ添った夫ジョンから、彼の経営する会社の経理担当の白人女性と暮らしたいので離婚したいと告げられ、ショックと怒りで彼のBMWに火をつけ、所持品全てを1ドル均一で売り払ってしまう。彼女はヘアサロンを経営している古くからの友人グロリアに、サヴァンナを紹介する。グロリアは大学時代にスポーツマンのデイヴィッドと関係し、妊娠。その時生まれたタリク(ドナルド・アデオサン・フェイソン)は今17歳の反抗期で、心配の種だ。自分の体重が増えたのも気掛かりだが、デイヴィッドから「何年もバイ・セクシャルだった。今は完全なゲイだ」と衝撃の告白をされ、いつか一緒に暮らしたいという夢も消える。彼女たちにはもう1人の親友ロビン(レラ・ローコン)がいて、サヴァンナもすぐに親しくなった。保健会社に勤める彼女は経済的にも自立し、美人で男にもモテるが、ハンサムなら簡単に飛びつくので苦労が絶えない。現在の恋人ラッセル(レオン)はほかの女性と結婚してしまい、ルックスでは選んではダメと同じ会社のマイケル(ウェンデル・ピアース)と交際を始めるが、やっぱりラッセルが忘れられない。一方、サヴァンナはかつての恋人ケネス(デニス・ヘイスバート)と再会し、ベッドを共にする。彼は妻との離婚を考えているというものの、一向にその気配がないため、男のズルさを感じる。離婚訴訟中のバーナディンは、ある日、ジェームズという男性と出会い、互いの悩みや不安を語り合ううち、特別な一夜を過ごす。彼は、妻とは離婚寸前だったが、今はガンで余命いくばくもない彼女を看取るだけだと言う。妻の元へ帰る彼を見送りながら、彼女はもう二度と会うこともないと思う。グロリアは隣家に引っ越して来たマーヴィン(グレゴリー・ハインズ)と親しくなり、彼との第二の人生を考え始める。ロビンはラッセルの子を妊娠するが、彼との訣別を選んで子供を育てようとする。サヴァンナもケネスの優柔不断な態度に腹を立て、彼と別れる。そんなある日、グロリアが心臓発作を起こし病院に運ばれ、昏睡状態の彼女の傍でマーヴィンとタリクは祈りを捧げた。また大晦日がやって来た。グロリアはすっかり快復し、ロビンは大きなお腹を抱えている。バーナディンは離婚訴訟に勝った。そしてサヴァンナは自立した。それぞれが、かけがいのない友情を確かめ、それまでの日々を思い返しホッとため息をつくのだった。

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写真:Album/アフロ

映画レビュー

4.021世紀の現代の日本に置き換えてみても成立する普遍性のあるお話です

2019年9月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

四人の30代の黒人女性の物語です
男運のない女達
一人はずるずると不倫、一人は突然離婚、一人は旦那が実はゲイだと言い出し出ていった、一人はダメ男ばかり掴む
この四人のお話しが入り交じりながら展開していきそれぞれなりに決着していく
それだけの物語です
赤裸々なガールズトークの世界です
ベッドインのエピソードは笑ってしまいます

監督は男性ですが、女性の目から男がどう品定めされているかの視点は説得力あるものでした
カス男達の言動や態度は耳が痛かったり大なり小なり心当たりがある男性も多いのではないでしょうか

彼女達は昔の黒人とは違い、白人と同じような生活水準です
本作に出てくる黒人達はみなどちらかというと生活水準は並みより上の世界です
ちょっと背伸びした生活、でも手が届きそうな豊かな生活です
日本で言えば金曜日の妻たちぽい生活レベルです
四人とも職を持ち稼ぐ力を持っている自立している女性達なのです

そして時折登場するサバンナの故郷で独りで暮らす母との対比が染みます
彼女は前の世代の黒人女性です
貧しい老後を孤独に寂しく暮らしています
サバンナに中々離婚してくれない不倫男だと分かっていても彼は好い人だからよりを戻せと娘に言います
そうでもしないと私みたいに寂しい老後になるよと電話の向こうで泣くのです

30代、まだまだ女盛りだと息巻いてみても昔みたいに男が群がってこない現実も四人とも身にしみてます
これはと思い掴んでみたらカス男ばかり
母親の言葉はサバンナだけでなく四人に共通するものです

本作の中では人種差別は表面上見えません
テーマでもありません
黒人女性が白人ばかりの高級ホテルのバーで独り酒したりします
でもそれはやはり勇気のいることなのです
別の黒人女性の亭主は社長をしている会社の白人女と社内不倫をしていました
美容師をしている黒人女性の高校生の息子は白人女がガールフレンドです
それでも彼女達は黒人の世界の中に生きていて、その黒人社会の中で生きています
そして白人女に走る黒人の不倫男は黒人の面汚しだ罵ります
そこに現実の世界のリアリティーがあります
声高に黒人差別を云々するよりも遥かに雄弁に、素のままの現実の姿にこそ人種の平等があることを語っていると思います

主演のホイットニー・ヒューストンも素晴らしい演技をみせます
その他の役者も皆中々のものです

音楽はあのベビーフェイスが担当しており、ブラックミュージックのいい曲が上手に使われています

四半世紀近い前の米国の黒人社会のお話ですが、21世紀の現代の日本に置き換えてみても成立する普遍性のあるお話です
女性の社会進出で活躍する一方ふと気軽つけば結婚は後回し、それなりに努力してはみてもカス男ばかり掴んでしまう
そんな女性は身近にもいるのではないでしょうか
日本版リメイクもあっても良いと思います

良作だと思います

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