劇場公開日 1985年5月25日

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「無限ループの終わりなき戦い…の、始まりの物語」ターミネーター kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0無限ループの終わりなき戦い…の、始まりの物語

2021年8月13日
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鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭11にて。

80年代を猛スピードで駆け抜けたオライオン・ピクチャーズによる、低予算SFアクションの奇跡的傑作。
同社はこの後、もうひとつ伝説的SFアクション『ロボコップ』を世に送り出している。

初公開された1985年頃は空前のホラー・B級映画ブームだったと記憶する。殺人サイボーグが死んだと見えてまた襲ってくるという怖がらせ方は、この時代のホラーの常套だった。『未来警察』なんかもホラーの手法を採り入れたSFで、ちょっとした流行りだったと思う。
本作が日本に上陸した時は既にアメリカで異例のヒットを記録したことが伝わっていたし、何よりアヴォリアッツのグランプリ作品だということで、我々若者は熱狂的に迎え入れたのだった。

シュワルツェネッガー以外はほとんど無名のキャスティング。シュワちゃんだって『コナン・ザ・グレート』に主演してはいたがスターにはほど遠い存在だった。
低予算と言っても日本とは桁が違う。街中でのカーチェイスはあるし、トレーラーを爆破炎上させたりもする。更にストップモーションアニメまであるのだ。日本映画でここまでやったら今でも大作扱いではないか。

改めて観ると、続編への布石がちゃんと打たれていて設定がよく練られていたことが分かる。
この映画は、将来自分が関わることを起こさせないために殺人鬼が未来から襲ってくる…という基本コンセプトに、それを阻止するために同じ未来から助けが来て戦うという活劇のアイディアが加わった段階で、半ば成功したようなもの。
なにしろ、これをアレンジするだけで幾つも続編を作ることができるのだから。
そして、ジェームズ・キャメロンによるディテールの肉付けが極めて上手い。(共同脚本はプロデューサーでもあるゲイル・アン・ハード…本作発表後にキャメロン夫人となる)
電話帳の記載順にサラ・コナーという女性が殺害されていくので、サラ(リンダ・ハミルトン)は自分の危機に気づく。不安に駆られたサラは自分の後を着けてくるカイル・リース(マイケル・ビーン)を殺人者だと誤解するのだが、ターミネーターは間近に迫っていた…というサスペンスが絶妙だ。
警部や心理分析官の会話も気がきいていて、荒唐無稽な物語に少しだけ現実性をもたらしている。

未来では核戦争後に防衛システムの人工知能が暴走し、機械が人類を制圧するという。
タツノコプロのTVアニメ『キャシャーン』では、知能をもった公害処理ロボットがアンドロ軍団を組織して人類殲滅戦争を起こしていた。70年代に日曜洋画劇場で放映された『地球爆破計画』というB級映画では、米ソの軍事コンピュータが意志疎通して人類を征服しようとする。
人工知能の発達に対する漠然とした危機感は、SFの定番アイテムのひとつ。
『2001年宇宙の旅』のHALもそのひとつか。

余談だが、1990年『ダンス・ウイズ・ウルブズ』、1991年『羊たちの沈黙』と、アカデミー賞作品を連続して製作したものの、オライオン・ピクチャーズは深刻な財政難から抜け出せず、間もなく破産。後にMGMに買収されている。
混沌となった『ターミネーター』の続編の行方は、紆余曲折を経て『ランボー』シリーズで同時期勢いのあったカロルコ・ピクチャーズが権利を取得。
しかし、大作を連発した同社は『ターミネーター2』を絶頂に高騰した制作費を収益で賄えず、間もなく倒産している。
盛者必衰…は世の常。

kazz
活動写真愛好家さんのコメント
2023年9月14日

kazzさん、コメントありがとうございます。ターミネーターシリーズは無限ループなんですよね。カイルが未来からやってくることもタイムループの1つで歴史なんですよね。その辺りがマーベルやBTTFと違うところだと思うんですが、2作目ではその辺のルールが思いっきり無視されてたような気がします。

活動写真愛好家
あき240さんのコメント
2021年8月14日

内容が濃いレビューで感動しました!

あき240