劇場公開日 1988年10月29日

「軽くないよ、硬派だよ」存在の耐えられない軽さ きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5軽くないよ、硬派だよ

2019年2月7日
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鑑賞方法:DVD/BD

「存在の耐えられない軽さ」???
いったいトマシュのどこが"軽い"のか、納得のいかない題名です。

このタイトルは邦題がおかしいのかと思ったが、原題そのままの訳なんですね。
浮気を咎めるテレーザの一言がそのまま表題になってしまっています。
でも多少の女好きは若い外科医なら当たり前でしょう。

その彼がプラハへのソ連軍侵攻と秘密警察の思想弾圧に屈せず、職も地位も一切を投げうって、持ち物といえばたった二つ、
─愛妻テレーザと「オイデプス」に込めた自身のプライドだけ─を携えて田舎へ行くという闘争の歴史ではありませんか。
これを硬派と呼ばずして?

テレーザのどこがそんなに良かったのかは、これがまったく不明。おつむが"軽くて"男にとっては"重い女"テレーザ。その彼女を理由もなく愛し守って添い遂げた、そんな男の重厚な物語なのでした。

撮影時には23歳のジュリエット・ビノシュです。前髪を切ってもっと幼く見えますね。アップ多用は監督の惚れ込み様の証。

171分と長尺にも関わらず
飽きさせないのは、どこかTVドラマ風の 早い画面の切り替え故。たびたび暗転します(CMタイム?)。そして繰り返し3つのマグカップを写して3人の固い友情を話の核としている。
かつ、どのエピソードにも無駄がなくて煌めいているのです。⇒どこから再生しても引き込まれる。

たまにはR18の"お色気物"でも観るか~(笑)と借りたDVDでしたが、とんでもなかった。「タクシー運転手」の光州事件のシーンを思い出すシリアスな作品でした。

サビーネ役のレナ・オリン素敵ですね。「愛を読む人」のアウシュビツ生存者。
トマシュはもちろん「ガンジー」~「リンカーン」へと大成するダニエル・デイ=ルイスでした。

若き日の三大名優の共演。
さすが、みんな上手いわ!

きりん
talismanさんのコメント
2019年12月13日

この映画、大好きです。原作も素晴らしいです!

talisman
talismanさんのコメント
2019年12月13日

この映画、大好きです。

talisman