劇場公開日 1997年12月13日

「波乱の人生」セブン・イヤーズ・イン・チベット Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0波乱の人生

2020年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

総合:75点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )

 妻を残して遠い国で登山をしていたらいきなり戦争のため捕虜となり、異国で脱走をして死にそうになり、外国人立ち入り禁止の西蔵のラサに辿り着く。ダライ・ラマという異世界の長との触れ合いがあるが、だがそこでも歴史の大きなうねりに翻弄され、会えない子供のことに苦悩する。
 なんという波乱の連続、その彼の激しい人生にどうなるのかと惹きつけられる。またその凄まじい経験から、最初は登山家として野望を持って青年は、最後にはもっと他人に対して愛情深い人への変貌していく。その変遷を見て心穏やかになる。

 主人公ハインリヒ・ハラーの人生と共にもう1つの重要な主題が、中国による西蔵の侵略と弾圧である。国際社会では未だに中国の残虐さが糾弾されることが多い問題だが、これは現在進行形でもある。そしてただの侵略ではなく統治のため一説では100万人とも言われる数多くの虐殺と破壊も起きていると言われる中で、そのような場面の描写は短くて必ずしも強いものではなかったので、さらに生々しいものにしてくれた方が心に響いただろう。

 最初に本作品を観た後で、映画にも登場するダライ・ラマの講演を聞く機会があった。詳細な内容は覚えていないが、高齢なのになかなかに力強い声と内容の演説をする人だった。それからまた観直してみるとさらにダライ・ラマと中国の弾圧について身近に感じた。
 ウィキペディアで調べてみるとハインリヒと一緒にラサに辿り着いたペーターもまた波乱の人生を歩んでいて、彼のその後がおざなりになっているのは中途半端だった。あの描き方だと彼はそのままラサに死ぬまで残ったように思えてしまう。簡単でいいから最後の場面で彼についても言及があればよかった。

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Cape God