西部魂(1941)

解説

「激怒(1936)」「暗黒街の弾痕」のフリッツ・ラングが1941年に監督したテクニカラー色彩の西部劇映画の黒白版である。西部小説作家中、映画と最も関係深いゼーン・グレイの物語をロバート・カースンが脚色したもので、「マーガレットの旅」「青春の宿」のロバート・ヤング、「拳銃街道」「海賊キッド」のランドルフ・スコット、「嘆きの白薔薇」のディーン・ジャガー、「打撃王」のヴァージニア・ギルモアを始め、「駅馬車(1939)」のジョン・キャラディン、「ブーム・タウン」のチル・ウィルス、「西部戦線異状なし」の故スリム・サマーヴィル、「高原児」のバートン・マクレーン等が出演している。なお撮影(色彩)はエドワード・クロンジェガーとアレン・M・デーヴィーが協力した。

1941年製作/アメリカ
原題または英題:Western Union

あらすじ

1861年、ウエスタン・ユニオン電信会社は、ネブラスカのオマハから、未開なインディアンの集落の点在する荒野を横ぎって、ユタのソルト・レイク・イティまで、電柱を建てて通信網を延長しようとしていた。技師長エドワード・クレイトンは単身その実地下検分に出かけ、落馬して重傷したのをお尋ね者らしい若者に救われた。傷も頂っていよいよ電柱建設工事に出発することとなり、作業員を募集するとその中にかの若者がいた。ヴァンス・ショウというその若者は、其夜逃亡しようとしたがクレイトンは何もせん議はしないからといって留め、ショウを道案内役に任命した。クレイトンの父の親友ブレイクの息子リチャードは、電信技手として1行に加わるが、彼もショウもクレイトンの妹スウに一目ぼれして、期せずしてサヤ当を演じたが、共に惜しい別れを告げて荒野に向かった。数日後の1夜、一行の牛が数頭盗まれたのでショウが調べに行くと、以前彼が仲間だった海賊団の仕業だった。頭目スレードはショウに復帰を勧めたが、彼は拒絶して走り、クレイトンにはインディアンの仕業と報告する。翌日スウ族インディアンが襲って、一行のキャンプを焼き馬を盗み去った。近くの町に馬を買いに行くと、盗まれた馬をスレードが売立てていたが、証拠がないのでクレイトンは5千ドルで盗まれた馬を買いもどした。其折スレードとショウが旧知である事を知り、クレイトンは怪しんだが何もいわなかった。目的地に近附いたころ、一夜ショウはおびき出されてスレード一味に縛られて了ったが、綱を焼いて解きキャンプにもどると、スレードの放火で大火となっていた。翌日クレイトンはショウに説明を求めたが、ショウは沈黙を固執し解雇された。去るに臨んで彼はリチャードに、スレードはおれの冗弟だといい残した。リチャードが追跡すると、ショウは近くの町でスレード一味と銃弾戦を変え、児分2分を倒しスレードにも負傷させたが、自らも重傷を受けて死んだ。そこに来合わせたリチャードはスレードを射殺した。数日後ウルト・レーク・シティでは電信開通の祝があり、スウは先着して待っていた。

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映画レビュー

3.5 西部劇らしさのあるフリッツ・ラング監督の演出美とベテラン俳優の競演

2026年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、TV地上波

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1934年ドイツからアメリカに亡命したフリッツ・ラング(1890年から1976年)監督が、前作「地獄への逆襲」(1940年)に続いて20世紀フォックスで演出した西部劇。伝説アウトロー、ジェシー・ジェームズの兄フランクを主人公にしたヒーロー映画から、大陸横断鉄道と並ぶ西部開拓史の近代化を象徴する電線架設工事の苦難を題材にしています。ただしゼイン・グレイ(1872年~1939年)の原作『Western Union』(1939年)を脚色した、「スタア誕生」(1937年)のロバート・カーソン(1909年~1983年)の創作ドラマは、実在した実業家エドワード・クレイトン(1820年~1874年)を登場させるも、南部ギャングだったヴァンス・ショウと東部出身のインテリ技師リチャード・ブレイクがエドワードの妹スーをめぐって恋の駆け引きをするエピソードを加えていて、通俗的な西部劇になっています。興味深いのは、南北戦争開戦の1861年の時代背景で、電線の架設を妨害するのがショウの古巣の白人ギャング組織であり、ネイティブアメリカンは電線が魔除けになると説得され簡単に許可をするところでした。この北部と南部の対立構造を踏まえて、男3人の企みが複雑に絡み合う人間ドラマの面白さでした。

広大な西部に電柱と電線を設置していくシーンの雄大さは絵的に素晴らしく、そこにネイティブアメリカンが襲撃すると思いきやウィスキーを強請りに来ただけであって、実はギャング組織が宿営地を襲うための罠だった展開の西部劇らしさ。ラストの焼き討ちにあうシーンの森林火災と逃げ惑う人間と馬車のスペクタクル。そして、元仲間だったギャングのボス、ジャック・スレイドと対決するショウの覚悟と、見所も後半に畳み掛けます。

ラング監督の演出は前作より西部劇らしくきっちりとした画面構成と役者の演技でまとめています。欲を言えば最後の決闘シーンに、迫力とカッコよさを強調しても良かったのではないかと思いました。上映時間95分と短くも、テクニカラーの大作仕様の特徴は、その主演スターを3人揃えたことでした。クレジットタイトルの一番上のロバート・ヤング(1907年~1998年)は、東部出身のキザ男を好演して、最後はショウの復讐を果たす良い役どころです。実質主演の扱いだったランドルフ・スコット(1898年~1987年)は、「地獄への道」(1939年)でも目立っていましたが、この作品では犯罪者から改心して実の兄と対決する難しい役を見事に演じていると思います。そして、エドワードのディーン・ジャガー(1903年~1991年)は「頭上の敵機」(1949年)でアカデミー賞の助演男優賞受賞の演技派俳優。3名とも1928年から1929年頃デビューして10年以上のキャリアを積んで、この大作で共演しています。ヤング33歳、スコット42歳、ジャガー37歳のベテラン俳優の競演とも言えるバランスの良さと、安定感ある演技でした。女優ではスーを演じたヴァージニア・ギルモア(1919年~1986年)ですが、今回見直して調べたらユル・ブリンナーのパートナーだった人と知り驚きました。ドク・マードック役のジョン・キャラダイン(1906年~1988年)は今回それ程目立たず、脇役で活躍したのはクッキー役のスリム・サマーヴィル(1892年~1946年)です。「地獄への道」では、ジェシー・ジェームズ一味の恐さを知る看守役で怯えながらユーモアを醸し出していましたが、この作品では完全にコメディリリーフの役回りでした。ラング監督が演出していると思うと複雑な気持ちにもなりますが、この時代の娯楽西部劇の定石なのでしょう。そして、個人的に感心したのが、ジャック・スレイドを演じたバートン・マクレーンの(1902年~1969年)悪役振りでした。スコットより4歳年下ですが、凄みと演技の巧さで役を見事に表現していると思います。マクレーンは、同年にジョン・ヒューストン監督の「マルタの鷹」、その後「黄金」(1948年)にも出演しています。

〔 双葉十三郎氏の本の解説では、1949年の日本初公開の時はテクニカラーのフィルムではなく白黒版だったそうです。その為評価も低く抑えられていました 〕

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Gustav

3.0 ビジネスライクな西部劇

2026年1月25日
iPhoneアプリから投稿

圧倒的なロケーションとアクション、素晴らしい
キャンプと森が焼けるシーンはかなりの大掛かり
ストーリー展開も細かなネタと回収が素晴らしくて
西部劇好きとしては唸りましたー

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mamagamasako2

5.0 荒野に電信柱を立てる話。

2024年7月20日
PCから投稿

楽しい

興奮

なかなか良いですよ。
アメリカ開拓魂あふれる作品。

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えいがまん

2.0 フリッツ・ラング監督が西部劇?

2021年8月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

西部劇とフリッツ・ラングが結び付かず、
たまたまNHKBS放映されたので
驚きつつ鑑賞。

それにしても、ドイツでの「メトロポリス」やアメリカでの犯罪映画が有名な
フリッツ・ラング監督が西部劇を撮っていた
ことは知らなかった。

誰が主役が分かり難いような、
また、ストーリー展開に深みも感じ難い
ような平板な印象の作品ではあったが、
バッファローの群れを突っ切るシーンや、
森の中の火災シーンは、
さすが大監督ならではものだろうと
驚かされた。

まだまだ観れていないラング監督作品との
出会いが楽しみだ。

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