劇場公開日 1962年11月29日

「本作によって、西部劇は一旦集大成され総括されてしまったのです 西部劇映画は本作以前と以後で、厳然と時代が区切られていると思います 西部劇ファンなら絶対に観なければならない映画です」西部開拓史 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0本作によって、西部劇は一旦集大成され総括されてしまったのです 西部劇映画は本作以前と以後で、厳然と時代が区切られていると思います 西部劇ファンなら絶対に観なければならない映画です

2021年10月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1962年11月日本公開
米国公開は1963年2月なので珍しく逆転しています

スーパーウルトラ超大作というのが本作の形容詞に相応しいと思います
アカデミー賞は8部門でノミネートされその内3部門で受賞しています

西部劇ファンで、本作を観てないなんて言うことはできません
西部劇集大成にしてスタンダードであると断言します

1939年から1989年の50年間に渡るプレスコッ一家の物語を5つの話で構成し、それを4人の監督が分担して撮影した作品です

第1話 河、1830年代末
一家が東部から来てオハイオに定住するまで

第2話 大平原、1850年代
大人になった次女リリーはセントルイスからサンフランシスコを目指す

第3話 南北戦争、1861年~1865年
長女イブの息子ゼブが北軍に従軍する
戦争が終わり帰ってみると父母は亡くなっていた

第4話 大陸横断鉄道、1868年
ゼブは戦後、鉄道敷設工事を守る騎兵隊の若き指揮官となる

第5話 アウトロー、1880年代末
中年男となったゼブ、家族をもちある田舎町の保安官になっている
亭主を亡くし老女になったリリーが自分の土地に移り住めと彼を訪ねてくる

165分もあります
つまりセルジオ・レオーネ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ウエスト」と同じ長さです
その作品は、本作の第5話を下敷きにしています

本作と比較して下さい
本作の方が遥かに優れていると感嘆すると思います
ハッキリいってレオーネのその作品は本作の劣化版、しかも水膨れさせた作品です
カメラとフィルムの進歩による美しい映像だけがかろうじて本作に対抗しうる部分です
その作品を観たならば、口直しに本作を観たくなるはずです

大平原を進む長大な幌馬車隊の車列
それを猛速度で襲撃するインディアン
その迫力たるや「駅馬車」以上です
それがカラーしかも元祖シネラマで撮影されているのです!

鉄道の敷設工事のシーン、西部の街のシーン、走る列車の上での悪漢どもとの対決のシーン
どれもこれも最上級のものです

長いとも退屈だとも、まして長さに苦痛を感じるなんてことは全くなく、一気に最後まで観てしまうと断言します

本作によって、西部劇は一旦集大成され総括されてしまったのです
西部劇映画は本作以前と以後で、厳然と時代が区切られていると思います
本作以後は、マカロニウエスタンのように、従前とは違う毛色や特色を売り物にしなければならなくなったのです

西部劇ファンなら絶対に観なければならない映画です

ただDVDの映像は、初期のシネラマの3台のカメラで撮影してそれを一つのスクリーンに同期して映写する方式の作品であるため、左右中央とで画面のつなぎ目が気になります

それはそれで映画の歴史を感じる意義が有るのかも知れません

しかし、古い作品だけあって色褪せてもいます
映画関係者の皆様
是非お願いです
4Kリマスターで元の鮮やかな色彩と、最新のデジタル技術でつなぎ目がわからないクリアな映像で再発売をお願い致します
そしてできうるならばIMAX として劇場公開をお願い致します

映画の金字塔にはこのような対応が必ず成されるべきと考えます

あき240