審判(1962)

劇場公開日:2026年9月25日

審判(1962)

解説・あらすじ

「市民ケーン」「黒い罠」などで映画史に名を刻んだオーソン・ウェルズが、フランツ・カフカの同名小説を映画化し、1962年に発表した不条理ドラマ。身に覚えのない罪で逮捕を告げられた男が、正体の見えない裁判と法の迷宮に巻き込まれていく姿を、悪夢のようなモノクロームの映像世界で描き出す。

ある朝、会社員のヨーゼフ・Kは、自室に現れた警官たちから、理由も告げられぬまま逮捕を宣告される。何の罪に問われているのかもわからないまま、彼は奇妙で不可解な裁判制度の世界へと足を踏み入れていく。法廷、弁護士、看護師、画家、司祭など、ヨーゼフ・Kの前にはさまざまな人が現れるが、助けになるはずの人々はみなどこか曖昧で、かえって迷宮を深めていく。ヨーゼフ・Kはやがて、理不尽な世界に追い詰められていく。

ヨーゼフ・K役を「サイコ」のアンソニー・パーキンス、弁護士役をウェルズ自身が演じ、ジャンヌ・モロー、ロミー・シュナイダーらが共演。ザグレブやローマ、そして当時は使われていなかったパリのオルセー駅などで撮影され、荒廃した駅舎や巨大なオフィス、方向感覚を失わせる空間が、ヨーゼフ・Kの置かれた不条理な世界を視覚化した。2026年9月、デジタル修復を施した4Kレストア版で再公開される。

1962年製作/119分/G/フランス・イタリア・西ドイツ合作
原題または英題:The Trial
配給:グッチーズ・フリースクール
劇場公開日:2026年9月25日

その他の公開日:1964年(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5 赤狩りとユダヤ人収容所

2020年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 朝起きると、何の罪かも告げられずに逮捕。いきなりの不条理な世界。歯科医夫人グルーバックの下宿で暮らしていたジョゼフKだったが、つまらないことでいちゃもん付けられ、とりあえず会社で仕事してからオペラ劇場で音楽を鑑賞中にまた刑事に呼び出される。いきなり大法廷での審問が始まるが、ばかばかしさを訴え、その場をしのいだK。やがて明らかに不審な弁護士を訪ねるが・・・

 ストーリ的には単なる夢の中のようで、Kの願望をも表現していたのだろう。アパートの隣の部屋は夜の商売をしているビュルストナー嬢。キスを交わす仲のようだが、深い関係にはなっていないようだ。さらに弁護士秘書のレニともいい関係になっていく・・・これはもう男の願望に他ならない。

 職場も巨大な事務室だったし、オペラ劇場といい大法廷といい、自分が馴染めないような場所は全て巨大。法廷のドアだって10メートルくらいありそうだった。Kと同様に被告人となっている者たちも大勢いた。明らかにユダヤ人収容所を意識したかのような場所での被告人。法廷の様子も50年代の赤狩りを想起させるし、皮肉めいた部分は興味深いところです。

 法律とはいったい何?正義とは何?人が人を裁くってのはありなの?などと、終盤には罪がなくても多数の価値観で人を罪人に仕立てることができると訴えてくるような内容。そもそもその法律は誰が作ったものか?自分だけの法律(刑法)ってあり?主人公Kの不安な心情が影を巧みに操った映像で心揺さぶってくる。巨大な影だったり、揺れる影だったり、ストライプの影だったり・・・画家の部屋や屋根の下の通路などの不思議な遠近感も面白い。

 ザ・シネマで観たのですが、本編よりも町山さんの解説のほうが面白かった。作曲家レモ・ジャゾットの「アルビノーニのアダージョ」についてのウンチク、影については『第三の男』、それが影響を及ぼした『ロボコップ』の登場シーン。さらにその影は古い『カリガリ博士』からの影響だということだった。そして、この作品が『未来世紀ブラジル』や『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』にも影響を与えていることも・・・

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kossy