シンドバッド 黄金の航海

劇場公開日:

解説

「アラビアン・ナイト」の主人公シンドバッドの、妖怪を相手にした大冒険旅行を描いた特撮映画。製作はチャールズ・H・シニアとレイ・ハリーハウゼン、監督はゴードン・ヘスラー、ブライアン・クレメンスとハリーハウゼンの原案をクレメンズ自身が脚色、撮影はテッド・ムーア、音楽はミクロス・ローザ、編集はロイ・ワッツ、特殊視覚効果をハリーハウゼンが各々担当している。出演はジョン・フィリップ・ロー、キャロライン・マンロー、トム・ベイカー、ダグラス・ウィルマー、マーティン・ショー、グレゴアール・アスラン、カート・クリスチャンなど。

1973年製作/105分/アメリカ
原題:The Golden Voyage of Sinbad
配給:コロンビア映画
劇場公開日:1974年12月21日

ストーリー

船乗りのシンドバッド(ジョン・フィリップ・ロー)は部下をひきつれて大海原に帆船を走らせていた。ある日、怪鳥が船の上に飛んできて黄金の刻印のようなものを落としていった。シンドバッドはその夜、恐ろしい夢を見た。片手に人間の眼の刺青をほどこした美女、そして悪魔のような男の夢だった。船はアラビアに着いたもののシンドバッドはクーラ(トム・ベイカー)と手下のアクメッドという男に襲われたが難を逃れ、アラビア首相ビジェル(ダグラス・ウィルマー)に面会した。ビジェルはシンドバッドに物語った。シンドバッドを襲ったクーラは恐ろしい魔術を使う悪魔でアラビアを支配しようとしているのだ、と。そのビジェルも黄金の刻印を持っていた。シンドバッドの刻印と合わせると二つは合致し、それはある孤島への地図を示していた。ビジェルによれば刻印はもう一つあって三つを合わせるとアラビアを危機から救う力を得られるという。シンドバッド、ビジェル、アラビア商人のぐうたら息子ハロウン(カート・クリスチャン)、美しい女奴隷マルギアナ(キャロライン・マンロー)が加わり、謎の孤島へ出発した。一行の船をひそかにつけ始めたのはクーラ一味の帆船だった。早くもクーラの魔術のために孤島への道を示す海図は奪われるが、シンドバッドは海図のすべてを記憶していた。一行はやがて孤島シシリアに着いた。洞窟にさしかかると怪人の顔が現れ、不思議な神話を告げた。三つの黄金の刻印を手に入れたものには、若さと暗黒の盾と富の王冠が与えられるという。その頃、先回りしたクーラは緑色の肌をした原住民たちを手なづけ、一行を殺そうと企んだが女奴隷のマルギアナによって救われた。彼女こそシンドバッドの夢の中に出てきた片眼の刺青をした美女だったのだ。だが6本の手を持った女神像や半人半馬で片目の怪獣ケンタウルスに襲われ、マルギアナがさらわれてしまった。やっとのことで彼女を救いだした一行は“運命の泉”に辿り着いたがクーラは既に待ち構え、ケンタウルスが再び一行の前に立ちふさがった。ケンタウルスに対するのはワシの頭と翼、ライオンの胴を持つ怪獣ー泉を守護するグリフィンだった。2匹の怪獣がシンドバッドとクーラの前で死闘を開始したが、クーラの悪計で倒れたのはグリフィンだった。ついにシンドバッドは剣を取り、部下の協力でケンタウルスを倒しクーラをも倒した。“運命の泉”にふれたビジェル首相は若さと富の王冠を手に入れ、アラビアの支配者となった。これで行く末、永くアラビアの平和は保たれるだろう。そしてシンドバッドは美女マルギアナを抱きしめ、新たなる冒険の旅に出るのだった。

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映画レビュー

5.0円谷英二の訃報がハリーハウゼンに本作を撮らせたのではないでしょうか? 本作は円谷英二の墓前に供える為の作品だったのかも知れません

2021年10月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1973年の英国先行公開
米国と日本は翌1974年の公開です

「シンバッド七回目の航海」は1958年の作品なので、16年もの間隔が開いています
続編という訳ではなく、主人公がシンバッドと言うだけで設定も少し違います

16年も間が開いていると言っても、その間にハリーハウゼンは6本の特撮作品を撮っています
つまり2~3年置きに1本というペースです

一方、太平洋を挟んだライバル円谷英二はどうだったか?
最低、年に2本くらい
怪獣映画と戦争映画が重なれば年2本どころか、1963年などは4本もの特撮作品を撮っていたのです
その円谷英二と比べると、ハリーハウゼンはスローペースかも知れません
ハリーハウゼンのダイナメーションはこのペースが限界であったということです

というより、円谷英二の方が異常な量産ペースなのです
いくら着ぐるみの怪獣と言えども早すぎます
悪く言えば粗製濫造を強いられていたのです

ハリーハウゼンは、本作の前は1969年の「恐竜グワンジ」から5年ぶりの作品です
円谷英二は1970年1月に永眠しました
ハリーハウゼンにとってもその訃報はショックだったのでしょう
それが本作を彼に撮らせた動機であったのではないでしょうか?
本作は円谷英二の墓前に供える為の作品だったのかも知れません

ホムンクルス、動き出す船首像サイレン、ケンタウロス、グリフィン等数々のクリーチャーはどれも素晴らしい!
どれも本作の映像イメージが、その後のロールプレーイングゲームでのそれらの姿形の基礎基本になっています

中でも血と殺戮を好む戦いの女神カーリーは傑作中の傑作です!
奈良興福寺の阿修羅像と同じ6本の腕を持ちますが側面に顔はなく、豊かな乳房があります
その美術的なグレードの高さときたら!

しかもこれが見事に戦い動くのです!
その動きはインドの舞踊のように腰を低くした動きを見せて6本の剣を振るうのです
なんと素晴らしいのでしょう!

女奴隷の右の手のひらにある目の形の刺青
刺青でなく手のひらの中央にある皺がそう見える手相があり、ファティマの目というそうです

これは、イスラム教徒には有名な魔除けとして知られるもの
嫉妬や羨望など妬みにつながる人々のまなざしを「邪視」と呼び、意識的・無意識に関係なく、他人から向けられた邪視には呪いの力があるとされており、それによって生じる不運から身を守ってくれるのが「ファティマの目」だといいます

つまり邪気や邪心を追い払い、身を守ってくれる手相ということです
右手なのは、イスラム教では左手が不浄とされているからです

残念なのは、これから怪光線がでて妖怪の正体を見通す!とかなんてのがないこと
これが見たかった!
もっと女奴隷が活躍すると期待していたのです
これだけが不満です

グインサーガという、ギネスに世界一長い小説とされているファンタジー小説があります
栗本薫という日本の作家の作品です

残念ながら彼女は2009年に他界され、いまは複数のお弟子さんの作家が更に続きを書いて未だに終わらないシリーズです

それに登場するキャラクターや雰囲気は本作の影響を大きく受けていると思います

グインサーガの読者は是非本作をご覧になって下さい
また本作のファンならグインサーガが必ず好きになると思います

さて、次のハリーハウゼンの作品は1977年
またもシンバッドものです
「シンバッド虎の目大冒険」となります
これもまた独立したお話です

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共感した! 2件)
あき240

3.5動く船首像!カーリ!ケンタウロス!グリフォン!

2019年10月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

レイ・ハリーハウゼン特撮の1973年の作品。
15年ぶりとなる“シンドバッド三部作”の2作目。

主人公名が同じだけで、話的には全く繋がりは無く、これはこれで別のシンドバッド大冒険。
演者も違うのでシンドバッドのイメージも変わり、前作は勇敢なヒーロー風だったが、今作ではそれプラス、ちょいニヒルさも。

航海中、怪鳥が落としていった黄金の銘板を手に入れたシンドバッド。
マラビア国に辿り着いたシンドバッドは、支配を目論む魔術師と対する黄金仮面の宰相と出会う。
魔術師の野望を打ち砕くには全ての黄金の銘板が必要。残りがあるとされる島へ冒険に旅立つ…。

今作も王道の冒険ファンタジー。つまらなくはないが、演出/演技面はやはり単調で、序盤登場するモンスターも魔術師のスパイのホムンクルスくらい。
強いて言えば、旅に同行する事になった女奴隷(ヒロイン)が豊満なバスト露な衣装でセクシー美人。
旅に出、追う魔術師の魔の手がいよいよ襲い掛かる…。

今回登場するのは…
魔術師によって操られた動く船首像!
同じく、6本の腕を持つ邪心像、カーリ!
島には恐ろしい魔物たちが。
半人半獣のケンタウロス!
鷲獅子のグリフォン!
童心ワクワクさせる魅力的なハリーハウゼン・モンスターたち!

中でも、カーリ。
それぞれ自由自在に別の動きをする6本の腕、舞い踊り、そして主人公たちとのソード・アクション…。
ダイナメーションで緻密で複雑な動きを見事に表現し、圧巻にして一番の見せ場!

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共感した! 4件)
近大

3.0ちょっと観てごらん

2019年3月21日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

興奮

地上波公開された際は画面に見入ったものだった。

鬼神カーリーの動きは本当に凄いと思う。
当時の技術ではまさに映像のマジックであった。

内容はともかく一見の価値はあると思う。

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うにたん♪(何観ても文句書きそうな気分)

3.0不気味

2018年8月7日
PCから投稿

出てくる怪物たちが不気味。
カーリーや、木製人形などなど。特撮が秀逸なだけに一層不気味度が増す。

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ハワイアン映画道の弟子
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