紳士協定

劇場公開日:

解説

反ユダヤ主義に対して果敢な挑戦を行なったジャーナリストの姿を通し、アメリカ社会の恥部を描く。1947年度アカデミー作品賞、監督賞、助演女優賞(セレステ・ホルム)を受賞。製作はダリル・F・ザナック、監督は「ラスト・タイクーン」のエリア・カザン、原作はローラ・Z・ホブスン、脚本はモス・ハート、撮影はアーサー・ミラー、音楽はアルフレッド・ニューマンが担当。出演はグレゴリー・ペック、ドロシー・マクガイア、ジョン・ガーフィールド、セレステ・ホルムなど。

1947年製作/アメリカ
原題:Gentleman's Agreement
配給:東宝東和
劇場公開日:1987年10月9日

ストーリー

妻に先立たれ、幼い息子トミー(ディーン・ストックウェル)と老いた母(アン・リヴェール)との暮らしが続く人気ライターのフィリップ、通称フィル(グレゴリー・ペック)は、週刊スミスの編集長ミニフィ(アルバート・デカー)の招きでカリフォルニアからニューヨークに移り、早速反ユダヤ主義の記事を依頼された。この記事の発案者は、ミニフィの姪キャシー(ドロシー・マグワイア)で、フィルは彼女に心を動かされる。ともかく今回の仕事は厄介だった。幼馴染みでユダヤ人のデヴィッド(ジョン・ガーフィールド)に相談しようかとさえ悩んだ末、フィルは自分自身でユダヤ人になり切ることにする。社の幹部との昼食会で、ユダヤ人だと名乗ったため、噂はあっと言う間に広まった。真実を知っているのは、母、トミー、ミニフィ、キャシーだけだ。フィルの秘書も実はユダヤ人だが、それが知れると雇ってもらえなかったとフィルに告白する。フィルがユダヤ人と知ると、人々は急によそよそしくなる。そんなおり、社の同僚のアン(セレステ・ホルム)のパーティに出席し、フィルはキャシーに求婚する。そしてキャシーはフィルを姉ジェーン(ジェーン・ワイアット)に紹介するため、コネチカットの家を訪れたりしていると、デヴィッドが帰国。彼をユダヤ人だからと罵ったり、フィル達のハネムーン先のホテルがユダヤ人を理由にキャンセルしたりと、現実にこの問題は大変根深かった。このことがこじれ、フィルとキャシーの間にも溝ができた。そしてようやくフィルの記事が発表された。内容の素晴らしさが評価されると共に、実はユダヤ人でなかったとフィルに対する見方も変わる。差別や偏見に目をそむけていたキャシーは、デヴィッドに悩みを打ち明け、彼の助言でフィルとやり直しを決意。デヴィッドもコネチカットの山荘をかりて人生をやり直す決心をした。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第5回 ゴールデングローブ賞(1948年)

受賞

作品賞  
最優秀助演女優賞 セレステ・ホルム
最優秀監督賞 エリア・カザン
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映画レビュー

3.0キング牧師の演説「最大の悲劇は…善人の沈黙である」はこの作品からの引用なのか…

2023年4月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「欲望という名の電車」「波止場」「エデンの東」
等、たくさんの名作で堪能させて頂いた
エリア・カザン監督だが、
この作品はこれらの前の作品にも係わらず、
制作から日本公開までなんと
40年もかかってしまったとのことで、
私がこの作品に触れることが出来たのも
「草原の輝き」等よりも後のことだった。

アカデミー作品賞映画ということで
再鑑賞したものの、
ユダヤ人に対する意識は
有色人種に対するものとは異なる
微妙さがあり、
日本人の私には理解し難い場面も
多かったが、そんなことも
日本公開が遅れた理由だったのかと
勝手に想像した。

そんな中、主人公のユダヤ人の友人が、
ヒロインを説得する台詞からは、
キング牧師の「最大の悲劇は、
悪人の圧制や残酷さではなく、
善人の沈黙である」との演説を物語化した
ような作品に感じたが、
時系列的には、彼が演説でこの作品から
引用したものだったのだろうか。

しかし、ここまで人種問題に寄り添った
カザン監督は、赤狩り事件に際は、
その政治信条から映画仲間を売る行為で
その名声を傷付けてしまう。

よく“リベラル対保守”の対立構図を
目の当たりにさせられる昨今だが、
人種差別意識と政治信条では
次元が異なることを認識させられる作品
でもあった。

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KENZO一級建築士事務所

3.0暗黙のうちに慣習となっていた社会問題を告発

2022年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
SpicaM

4.0古き良き米国映画らしい良心作、ただ少々物足りなさも

2021年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ライター役グレゴリー・ペック主演、エリア・カザン監督作。ユダヤ人差別に関して、傍観は勿論、口先だけでは駄目で、闘う行動が重要と説く、古き良き理想を求めていた米国映画らしい良心作。

ユダヤ人に扮してみたグレゴリーペックが、ホテル宿泊の婉曲的拒否や息子が差別を受ける等、差別を観客と共体験するのが上手い。ユダヤ人差別から距離を置こうとする恋人が、傍観者こそが差別を助長していることに気づく設定も、お見事。

ただ、深刻な差別の実情お抉るものはなく、何処か表面的で綺麗事の様で、物足りなさも正直覚えた。もう一つ二つ本質的なエピソードがあったら、さらに感動したのにとは思った。

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共感した! 2件)
Kazu Ann

4.0人種差別と闘う志と処方箋

2020年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

グレゴリーペック扮する妻に先立たれ幼い息子とニューヨークで暮らす人気ライターのスカイラーグリーンは、週刊スミスの編集長と会って反ユダヤ主義の企画について話した。スカイラーは、企画にあまり乗り気ではなかったが、息子にユダヤ人をどうして嫌うのかと聞かれ企画を受ける事にした。スカイラーは、企画の主であるドロシーマクガイア扮する編集長の姪キャシーを食事に誘った。スカイラーはなかなか構想が立たず苦労していたが、ユダヤ人と同じ様に暮らしてみようと思った。しかし、ユダヤ人と名乗った時からもう壁が立ちはだかった。キャシーとも意見を違えた。果たしてスカイラーは反ユダヤ主義を書き通す事が出来るのか? 人種差別問題は難しいよね。人類皆平等と言う事は頭では分かっていてもいざと言う時に心から納得出来るかどうかは分からないよな。夫婦となるふたりは、同じ価値観をもって志をひとつに一緒にがんばれる方が好ましいと言う事だ。

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重
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