劇場公開日 1968年3月16日

「アラン・ドロンの孤独な殺し屋」サムライ(1967) 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5アラン・ドロンの孤独な殺し屋

2022年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1967年(仏/伊)監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
孤独な殺し屋のアラン・ドロン。
ソフト帽にベージュのトレンチコート。
着こなしが完璧な上にその姿・お顔の美しいこと。
アラン・ドロンを堪能する映画でした。

ジェフ・コステロ(アラン・ドロン)は金で人殺しを請け負う孤独な殺し屋。
題名は「サムライ」ですが、誤解が海外にはあるようです。
サムライ(武士)は組織(主君とか藩に属する職業で、大義のためには命を捨てて戦うけれど、
殺し屋ではない。特に孤独な訳でもない・・・)

ジェフはナイトクラブで《殺しの仕事》を果たして部屋を出る時、黒人のピアニストに
顔を目撃されてしまいます。
面通しでピアニスト(カティ・ロジェ)は嘘をつき、ジェフをかばう。
事前にコールガールのジャーヌ(ナタリー・ドロン)に、アリバイ工作を頼んでいたジェフ。
一旦釈放されたものの。
主任警部(フランソワ・ペリエ)は、犯人はジェフに違いないと確信して、
包囲網を引いて行く。
メトロの追っかけっこ=逃亡劇は、スリルがあります。
マンツーマンで警察官がマークする中、彼らを巻くジェフのカッコ良さ!!
ジェフが車を盗む手口。
鍵束がネックレスのようです。
一個一個試して即、エンジンが掛かりスタート!!
盗んだ車を仲間のアジトに持ち込んでプレートを変えて、ついでに銃を受け取る。
と、かなり周到な仕事ぶり。

孤独なサムライの心を慰めてくれるのは毛色の悪い、声も悪いカナリアだけ。
この映画、カラーなのにほとんど色味がないです。
肌の色と車のライトが目立つくらいで、ほぼ無彩色。
会話も少なく、心の繋がりを断つジェフだけがポッカリと浮かび上がります。
しかし殺し屋の嗅覚は鋭い。
部屋に押し入ってきた殺し屋。
ジェフの首に銃を押しつける。
ジェフの目つきが瞬時に殺気立ちます。
目の前に肉塊をぶら下げられたドーベルマンのように、素早く襲いかかるジェフ。
流石の凄腕だ!
この暴力=心底プロの殺し屋だと知ります。

ラストの展開は、覚悟を決めたのでしょうか?
孤独な男は最後まで、1人ぽっち・・・でした。

琥珀糖
Mr.C.B.2さんのコメント
2024年2月12日

ジャングルの中の虎に似てサムライの孤独ほど深く、厳しいものはない-武士道
これは武士道ではなく、ジャン・ピエール・メルビルが考えたものだと、本人がインタビューで語っています。
孤独が深く、厳しいものとしてのサムライだと言う事でしょう。

Mr.C.B.2
活動写真愛好家さんのコメント
2024年2月4日

琥珀糖さん、こんにちは😃
どうも外国人の方が考える武士道とは、お城勤めしている侍ではなく、素浪人の生き様が大きいような気がします。

活動写真愛好家