クオ・ヴァディス(1952)

劇場公開日:

解説

MGMがイタリアのチネチッタ撮影所で作った1952年度作品で、ヘンリック・シェンキーウィッチの原作を映画化したテクニカラーの古代史劇。登場人物3万、セット115 と称される大作で、監督は「百万$の人魚」のマーヴィン・ルロイ(サイレント時代イタリアで三度映画化されている)。脚本はジョン・リー・メイン「ショウ・ボート(1951)」、S・N・ベールマン「哀愁」、ソニア・レヴィーン「アメリカ交響楽」の3人が共同執筆し、音楽は「三つの恋の物語」のミクロス・ローザ、撮影は「悪人と美女」のロバート・サーティースと「印度の放浪児」のウィリアム・V・スコールの担当。主演は「黒騎士」のロバート・テイラーと「ゼンダ城の虜(1952)」のデボラ・カーで、「ヘンリー五世」のレオ・ゲン、英国の俳優・監督・脚本家のピーター・ユスチノフ、英国女優パトリシア・ラファン、「黒騎士」のフィンレイ・カリー、エイブラハム・ソフィア、マリナ・バーティ、バティ・ベア、フェリックス・エイルマーらが助演。

1952年製作/171分/アメリカ
原題または英題:Quo Vadis
配給:MGM日本支社
劇場公開日:1953年9月5日

ストーリー

西暦1世紀の前葉、皇帝ネロ(ピーター・ユスチノフ)の元ローマ帝国が全世界を支配していた頃。3年に渡る英国遠征を終わってマーカス・ヴィニシウス(ロバート・テイラー)に率いられたローマ軍の一隊が首都に凱旋してきた。ネロはほかの軍隊の到着を待って大凱旋分列式を行うからといって、マーカスの引見をのばし、マーカスはその間に亡きリジア王の若い王女リジア(デボラ・カー)と知り合って、その気高い美しさに惹かれた。大分列行進の日、ネロの新しい妃ポッペア(パトリシア・ラファン)はマーカスの勇姿に邪な情熱を燃やした。だがマーカスの心は全くリジアに奪われ、ネロも許可を与えたが、当のリジアは彼の求愛を退け、忠実な怪力の護衛ウルスス(バディ・ベア)とともにローマから姿を消した。思いあまったマーカスは星占いの助力を求めてリジアが禁断のキリスト教信奉者であることを知り、部下とともに宗徒の秘密の集合場へ行き、リジアを捕らえようとしたが、ウルススの抵抗でマーカスは傷を負った。リジアは初めて心を許して彼の看護にあたり、2人は激しく愛し合うようになった。マーカスは結婚を申し込み、彼女もそれを承知したが、リジアが信仰を捨てる気持ちのないことを知って耐えられず、彼女の元を去って虚ろな心をポッペアの邪恋にまぎらそうとした。その頃ネロは、ネロポリスという新しい首都を建設するため、ローマを灰燼に帰そうと決心した。マーカスはローマが燃えていると知って戦車を駆って火の海におどり込み、逃げ場を失った群衆を安全な場所に非難させ、リジアを無事見つけ出した。ネロの極悪非道には群衆も遂に反逆の狼火をあげた。ネロはキリスト教徒に弾圧を加え、彼らを大闘技場に引き出してライオンの餌食にしようとした。マーカスも捕らえられた。使徒ピーターとナザルスは危うくローマを逃れたが、途中キリストに会い、『主よ何処に行き給うや』(クオ・ヴァディス)と問うと『余はローマに赴きて再び十字架にかからん』と答え、ピーターは翻然悔悟してローマに引き返し、捕らわれた。獄中で彼はマーカスとリジアの結婚式を執り行い、自ら十字架上に果てた。いよいよリジアが猛牛の餌食になろうとしたが、ウルススは身をもって彼女をかばい、その牛の首を捻じ挫いた。立腹したネロはマーカスとリジアを殺せと命じた。しかし2人はマーカスの部下に救われ、民衆はネロこそ罪人だと非難した。恐怖にかられたネロはポッペアを絞め殺し、逃げ去ろうとしたが、キリスト教徒アクテの短剣の露と消えた。暴君ネロの時代は終わり、自由の身となったマーカス、リジア、ウルススらはシシリイに旅立っていった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第24回 アカデミー賞(1952年)

ノミネート

作品賞  
助演男優賞 レオ・ゲン
助演男優賞 ピーター・ユスティノフ
撮影賞(カラー) ロバート・サーティース ウィリアム・V・スコール
編集賞 ラルフ・E・ウィンタース
作曲賞(ドラマ/コメディ) ミクロス・ローザ
衣装デザイン賞(カラー)
美術賞(カラー)  

第9回 ゴールデングローブ賞(1952年)

受賞

最優秀助演男優賞 ピーター・ユスティノフ

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
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映画レビュー

5.0「臣下は殺しても、芸術まで殺すな!」

2024年5月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.0主は此処にいる

2021年6月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

原作はフィクションとノンフィクションを合わせた歴史小説で、サイレント時代から何度も映画化されているという。
中でも最も有名なのが、この1951年の作品。アカデミー賞にもノミネート。

古代ローマ帝国、暴君ネロ、キリスト教…。
描かれる題材は日本人には馴染み薄い。
しかも3時間弱。
敷居が高そうで、途中でダレる事必至かと思ったら、
正直多少ダレたのはダレたが、エンタメ性もちゃんとあり、思っていたよりかは見れた。
さすがはハリウッド超大作スペクタクル!

遠征を終えローマに凱旋した将軍。美しい王女に恋をするが、相手はキリスト教徒。将軍はキリスト教に否定的。二人の恋愛劇。
ネロによる実際にあったローマ市放火。地獄絵図のような大火災。
妃ポッペアの入れ知恵でキリスト教徒を犯人に仕立て上げ、迫害、弾圧。
コロッセオでキリスト教徒がライオンに食い殺され、クライマックスは獰猛な闘牛と闘い。
当時としてはハードな描写。これらの迫力は圧巻。
王女を助けようとする将軍も捕らえられてしまう。
聖人や教徒たちも次々に。
「主よ、何処へ行かれる?(クォ・ヴァディス)」

苦境に追い込まれた時、助けになるのは…、信じれるものは…。
改宗。団結。
立ち上がる民衆の力。
悪政告発。
ドラマチックで、自害したネロの最期など歴史のお勉強にも。

信心深い方ではないが、
信じる皆の所に、主は此処にいる。

…が、奴隷役の無名時代のエリザベス・テイラーやソフィア・ローレンは何処に?

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近大

4.5啓示の書 その数字は666である。

2020年2月12日
PCから投稿

いろいろな説があるけれど、666=ネロ、なるほどな展開です。

作家:ヘンリク・シェンキェヴィチの歴史小説を下地とした作品で、
皇帝ネロの元、残忍なキリスト教徒迫害で処刑となったパウロが登場するのも史実のひとつとなっています。

キャスティングに関しては誰も知りませんでしたが、ペトロニウスの奴隷役の彼女がすばらしく美しかった。
できの悪い皇帝ネロはインパクトあり過ぎですが、この作品で決定付けてはいけません(笑)。

迫力満点、無駄のない構成に圧巻です。

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miharyi

3.5聖ペトロより ネロが… 気になる

2019年6月27日
Androidアプリから投稿

ポーランド人作家による 歴史小説が原作
キリスト教文化圏であるので、
弾圧した ネロに対する評価は低い
(ローマ帝国は 本来、多神教である)

聖ペトロの「殉教」も理解出来るし、
ネロも 暴君というより、変人扱いで 面白かった
(ユスチノフの演技に 注目してしまう!)

ネロを そそのかしていたのでは?と言われる
妻ポッパエアも、豹を従えて 華麗に登場

恋物語の主人公ふたりが 多難な為、ヴィシニウスの叔父ペトロニウス(サテュリコンの作者と言われる)と女奴隷のロマンスも 語られるが、なんだかな…
彼は 享楽的な生活に身を捧げた人物なので
純愛仕立てに、抵抗を感じてしまう…

歴史モノの例に漏れず、大味な気もするが、
見せ場が 次々と用意されていて、飽きさせない
昔の映画の エキストラの贅沢な使いっぷりにも、
感心させられる
奴隷役の エリザベス・テイラー、
ソフィア ・ローレン、発見できず!

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jarinkochie

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