恐怖の一夜(1950)

劇場公開日:

解説

「我が心の呼ぶ声」と同じくサミュエル・ゴールドウィンが製作し、マーク・ロブソンが監督にあたった1950年作品で、貧しい教区に起こった殺人事件をめぐる物語。レオ・ブラディの原作小説に基づいて、「探偵物語」のフィリップ・ヨーダンが脚色した。撮影は「ヴァレンチノ」のハリー・ストラドリング、作曲は「外套と短剣」のヒューゴー・フリードホーファーの担当。主演は「三つの恋の物語」(第2話)のファーリー・グレンジャー、「愚かなり我が心」のダナ・アンドリュース、「山のロザンナ」のジョーン・エヴァンスで、ロバート・キース「烙印」、ポール・スチュワート「チャンピオン」マラ・パワーズ「シラノ・ド・ベルジュラック」、アデール・ジャーゲンスらが助演する。

1950年製作/アメリカ
原題:Edge of Doom
配給:大映洋画部
劇場公開日:1953年8月4日

ストーリー

大都会の裏街にある聖スティヴンス教会は、貧しい教区をかかえ、伝導にもいつも苦難がつきまとった。助手のヘイマー神父はこの教会を去りたいとロス神父(ダナ・アンドリュース)に申し出たが、そのとき、ロス神父はかつて自分がある若い殺人犯によって真の神の道を教えられた体験を語った。その青年はマーティン(ファーリー・グレンジャー)といい、花屋に勤め病母を養っていた。僅かな給料で彼は母に満足な手当もできず、恋人ジュリー(マラ・パワーズ)との結婚も思いもよらなかった。やがて母は死んだ。当時教会はカークマン老神父が管理し、ロス神父は助手だった。老神父はかつてマーティンのならずものの父が自殺した時、神に背いた自殺者は葬れぬと教会葬を断ったことがあり、マーティンはそれ以来教会を憎んでいた。だから信仰の厚かった母には立派な葬式をと激しく要求したが、老神父は丁度娘のリタ(ジョーン・エヴァンス)が家出したという報せに不機嫌だったし、貧しい教会にとって応じかねる要求だったので拒絶した。マーティンは逆上して老神父を殺害し、帰途、映画館の売上金強奪犯人と間違われ、警察へ連行された。しかしロス神父の弁護で確証のないまま釈放された。その間に母の遺骸は葬儀社に移され慈善葬の手続きがしてあった。映画館強盗の犯人グレイグは、神父殺しの容疑で逮捕された。一方、マーティンは花屋の主人に葬儀のために花を大量に貸売りしてくれと頼んでクビにされてしまい、更に葬儀社に来て金はあとで払うから立派な葬式をしてくれと頼んだが、これも相手にされなかった。彼はジュリーに真実を告白しようとしたが言い出せず、それとなく彼女に別れを告げた。目撃者による、殺人容疑者の首実験の結果は、証人の錯覚からクレイグが犯人と指摘され、マーティンに対する嫌疑は晴れた。しかしマーティンは良心の呵責に堪えかね、母の遺骸の前で泣いて告白した。この告白をいつかロス神父は彼の後で聞いていた。マーティンは心から悔いて自首して出た。ー―ロス神父の話で、ヘイマー神父はこの教区のためにつくす勇気が湧いてきた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0神父と殺人犯のドラマ

2022年7月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

貧しい教区で起こった殺人事件を巡るドラマで、まぁまぁ面白く観ることが出来る映画だった。
いろんな映画で見慣れたダナ・アンドリュースは本作で神父役、ファーリー・グレンジャーが若者役を演じており、彼の恋人役はマラ・パワーズで普通に可愛い感じのエレベーターガール。

母親が病床にいて花屋で懸命に働く若者マーティン(ファーリー・グレンジャー)。彼は懸命に働いていたが、母親を療養させるほどの金を稼ぐことはできず、母親が亡くなってしまう。「お金は今は無いけど、母親のために盛大な葬儀を…」と願うマーティンの願いは、現実的には「金が無ければ盛大な葬儀は無理」であり、ほぼ引退したような神父に頼みに行くがアッサリと断られる。カッとなったマーティンは……といった犯罪ドラマになっていく。

殺人が起きたり、劇場で強盗が起きたりするが、この時代のアメリカの警官は、怪しいと思ったらすぐに連行する。これは、他の映画でも結構見られるので、「すごいな~」と思う(笑)

食事をしようとしていたマーティンも、食事する前に2人の刑事にしょっ引かれて、腹ペコなのに可哀そう…(^^;

神父のダナ・アンドリュースは、なかなか人徳ある神父で町の人々に慕われており、本作でも重要な立ち位置。

殺人犯と神父…と言えば、ヒッチコックの『私は告白する』を思い出すが、あのような懺悔シーンは無く、神父の勘による行動によって物語収束へ進むあたりは少しアバウトな感じがしたが、これはこれでそれなりに楽しめる映画ではあったと思う。

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たいちぃ
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