劇場公開日 1969年9月14日

「「ワンハリ」を機にお薦めしたいポランスキー&テイトの吸血鬼映画」吸血鬼(1967) MPさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「ワンハリ」を機にお薦めしたいポランスキー&テイトの吸血鬼映画

2019年8月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で俄然注目を浴びているロマン・ポランスキー監督と女優のシャロン・テート。結婚直後で幸せの真っ直中にいた2人の人生は、1969年8月9日、テートが狂信的カルト集団によって惨殺されたことで終わりを告げるが、彼らにとって最初で最後の共演作がポランスキーが監督(&主演)し、テートが出演した「吸血鬼」だ。この映画、日本では特に衝撃的に受け止められた。何しろ、日本公開日(1967年9月14日)はテートが殺された35日後だったのだ。劇中での彼女は、吸血鬼に狙われる"お風呂好き"の美女に扮して、半裸シーンで魅せまくり。演技力はゼロだが、確かに、気鋭の監督を魅了したであろう美貌の極致である。でも、映画はポランスキーによる吸血鬼映画のパロディが全編で炸裂して、笑いと恐怖が交互に訪れる秀逸な仕上がり。特に、吸血鬼ハンターとポランスキー演じる助手が見せるスラプスティックな動きと、吸血鬼伯爵のとんでもなくおぞましいルックス&リアルな吸血シーンの対比が堪らない。これを見ると、古典的な吸血鬼映画も、後発のパロディ映画も、バカらしく感じてしまうほどだ。意図的に長すぎる間合いも含めて、「ワンハリ」を機に是非お薦めしたいヴァンパイア映画の珍品である。

清藤秀人