劇場公開日 2016年3月26日

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「奇跡の映画」木靴の樹 カズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0奇跡の映画

2016年3月27日
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たんたんと19世紀の北イタリアの貧乏な小作農たちの生活が描写される。神を信じ、馬で畑を耕し、鳥を絞め、豚をさばき、牛が病気になり神に奇跡を祈り、金貨を拾い、雨の中洗濯をする。どこかで見たことがあると思えば、アーミッシュの生活、ミレーの落穂拾いのような光景が続く。どんなに暮らしは貧乏でも子供たちはたのしそうであり、親の手伝いをしたり、おじいさんの怪談を聞いて夜を過ごし、街の祭りに興じる。出てくるのはすべて現地の村人で、演技なのかなんなのか分からないが、すべてはとても自然で違和感なく、今でもこんな暮らしをする人がいて、ドキュメンタリーなのだと言われても信じてしまいそうだ。ストーリーらしいストーリーもなく細かいエピソードが積み重ねられていく。農民たち、妻たち、子供たちの無邪気な表情やしぐさに驚嘆し、どうしてこんな映画が可能なのか驚愕してしまう。

1978年カンヌ国際映画祭でのパルムドール受賞作品が37年ぶりのリバイバル上映。3時間の長い映画なので観るときはちょっとした覚悟が必要かもしれない。

カズ