劇場公開日 1952年9月4日

「製作年を感じさせない壮大な映画」風と共に去りぬ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5製作年を感じさせない壮大な映画

2013年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル

悲しい

難しい

総合:90点
ストーリー: 90
キャスト: 85
演出: 90
ビジュアル: 75
音楽: 80

 時は19世紀も後半にさしかかったころ、南北戦争を目前にした波乱の時代。まだ女性の権利など殆ど意識されていなくて、参政権も高等教育を受ける機会もなかった。その中で一人の女性が現代では当たり前とされていることをするということは、今よりはるかに厳しかったのは間違いない。
 しかしスカーレットはそんな時代に波乱の人生を強く思うがまま自由に生きようとする。好きな男とは一緒になれず、夫は死に、家は荒廃するのに、それでも失ったものを取り戻そうと精一杯の虚勢を張り努力を惜しまない。その強さが故に失ったものも多くてその大きさに気がついて、傷つき悲しみにくれる弱さを見せても、猶一時の後にはまた悠久の大地の上に立ち上がろうと決意する強さ。
 それは広大な大地を命懸けで開拓し近代国家を作り上げ女性がいち早く男と平等の権利を獲得した、そんなアメリカの強さの源泉を見た気にもなる。私個人のアメリカ生活でも感じた、強い者、リーダーシップを示す者、道を切り開く者に対する尊敬がアメリカの価値観の中にあるのは、きっとこういう歴史を踏まえてのことだろう。

 情熱と強さとしたたかさを、美しさの影に隠そうともしないヒロインの姿を見せ付けられると、小さな幸せでは収まらない女が自ら起こした渦に巻きこまれる不幸に納得しつつも、その生き様があるからこそ壮大なドラマになるとも思う。失敗を恐れず危険と犠牲を覚悟で挑戦をする。その過程では敵も作ることも知っている。それで彼女は挫けても、またなんとか立ち上がろうとする。
 もし彼女が小さな幸せくらいで満足していては、平凡な物語になってしまうだろう。壮大な物語にはそれにふさわしい主人公が必要である。世の中には小さな社会や常識に収まりきらず、向かい風に逆らい傷つきながらも自ら道を切り開く人がいる。その意味でヒロインものとして非常に優れている。

 1939年という時代においてこれだけのセットを作り壮大な劇を演じ、それらを当時として画期的な質の高い総天然色で撮影して見せてくれたアメリカという国の凄さに敬服する。戦後ですらも白黒映画がまだまだたくさんあった。古い映画なのだが、それでも本当の製作年よりずっと新しい映画だと錯覚させる。画質はちょっと粗いが、物語の構成の高さや演出の良さも含めて1965年製作の映画だと言われたら多分信じただろう。その意味でも素晴らしい映画である。

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Cape God