劇場公開日 1968年10月9日

「ミュージカル映画の終焉を飾るに相応しい名作です ミュージカル好きならマストでしょう」オリバー! あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ミュージカル映画の終焉を飾るに相応しい名作です ミュージカル好きならマストでしょう

2020年9月26日
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鑑賞方法:DVD/BD

1969年アカデミー賞6部門別最多受賞作品
この年の作品賞ノミネートはこうでした

オリバー!
ファニー・ガール
冬のライオン
レーチェル レーチェル
ロミオとジュリエット

この中では圧倒的に本作が優れていますから納得の受賞です

この年は「2001年宇宙の旅」がありましたが、受賞したのは特殊効果賞だけ
現代からみれば、「2001年宇宙の旅」こそが作品賞、監督賞を受賞しなければどうかしていると判断できますが、当時は突き抜け過ぎて審査員もその価値を正しく評価出来なかったようです

この作品がロンドンのウェストエンド、NYのブロードウェイのミュージカルを映画化した、過去からの伝統の上に撮られた最後の作品と言えるかもしれません

その後のミュージカル映画は、例えブロードウェイの映画化であっても、どこか違っています
第一ミュージカル映画の本数自体が激減してしまったのです

序盤のロンドンの下町、中盤のブルームズベリー広場のシーンなどは圧巻です!
これほどのものは二度と再現不可能でしょう!
見事な巨大セットに縦横無尽におどる百人を超えるのうなダンサー達
素晴らしい衣装、小道具で最高のダンスと楽曲
それを目の覚めるような巧みなカメラワークで撮影しています
ブルームズベリー広場など、広場(スクエア)ですから広場も建物も周囲の道路も当然ながら四角で直線です
それがミュージカルの見栄えだけのために全てを曲線で巨大セットを作ってしまうのですから!
参りました

主演のマーク・レスターと、助演男優賞を獲得したジャック・ワイルドの二人は、3年後の1971年に「小さな恋のメロディー」でも共演しています

マーク・レスターは大根なのですが、西洋絵画に描かれてきた天使そのものの姿形です
金色の緩い巻き髪、バラ色の頬、どことなく漂う上品さ
他の子役達との対比で際立っています
良く見つけてきたものです

ジャック・ワイルドは、芸達者でこまっしゃくれた子供スリの役を生き生きと演じています

フェイギン役のロン・ムーディーは脇役なのに主演男優賞を獲得しています
この時彼は44歳
見事な老け役振りでそれも納得です

この二人とミュージカルパートを取り仕切ったジョン・グリーンの卓越した才能、ドラマパートを重厚に仕上げたキャロル・リード
相乗効果がでています

ミュージカル映画の終焉を飾るに相応しい名作です
ミュージカル好きならマストでしょう

あき240