劇場公開日 1999年4月17日

「2020年、また恐ろしい法案が成立した」エネミー・オブ・アメリカ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.02020年、また恐ろしい法案が成立した

2018年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 見直してみたけど、今はGPSが当たり前になってるからわかりやすいけど、NSAの通信衛星や盗聴・盗撮のハイテクに圧倒された。これが1998年の話なのだから、最新の技術はもっとすごいのだろうなぁ・・・と怖くなるし、NSAの横暴さに腹が立ってくる。

 一つの殺人事件。監視社会を現実化しようとする国家保安法に反対する下院議員が事故に見せかけられ殺された。その現場をザヴィッツという男性がバードウォッチングのためにビデオを設置していたことがわかり、NSAの行政官レイノルズ(ジョン・ヴォイト)が回収するように指令を出す。ハイテク職員、元特殊部隊、完璧なまでに監視、盗聴を駆使して撮られたビデオテープを奪おうというものだ。

 ザヴィッツが弁護士ディーン(ウィル・スミス)にテープを渡したかどうかもわからないのに執拗なまでにディーンを追うNSA。ついには彼を貶めるためにでっち上げ陰謀論を炸裂させ、弁護士事務所をクビにするまで追い詰めた。わけのわからないディーンは逃げられるのか??というストーリー。

 ウィル・スミスのマヌケ弁護士ぶりがラストへのやけっぱち作戦で開花するプロットも最高に面白いし、途中の逃亡シーンで最後にPANTSという盗聴項目が残ったシーンも面白かった。それに何といっても怖くなるのが監視・盗聴の世界。日本でも特定秘密保護法、共謀罪などスパイ防止法に匹敵する法律が成立して、個人のプライバシーが奪われつつある。さらに2020年のスーパーシティ法案では銀行口座も筒抜けになるということだ。

 映画の中にも銀行口座が筒抜けになり調査されるシーンもあるし、簡単にクレジットカードを凍結することもできる。完全なキャッシュレス化を目指す政府の狙いもこの映画を観ると一目瞭然。ウィル・スミスがたまたま小銭を持っていたから公衆電話を使えたけど、ホテルには泊まれない最悪の状況だ。

 最後に出てくるブロードキャスターのラリー・キングによる「監視する側も監視しなくてはならない」という言葉が最も的確。結局は大統領や政府の保身のためにある法律なんだから、国民にはプライバシーはないということ・・・

kossy