劇場公開日 1996年10月26日

「教習所時代を思い出した」エグゼクティブ・デシジョン 因果さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0教習所時代を思い出した

2022年2月3日
iPhoneアプリから投稿

かなりよくできたパニック映画だった。グランドホテル方式で次から次へと色んなことが起こるんだけど見せ方が丁寧だから迷子になることもない。素早く切り替わるモンタージュはそのまま心臓の鼓動とリンクしているかのようで否が応にも引き込まれてしまう。

画面の静動の塩梅も絶妙で、緊張と解放が交互浴のような快感をもたらしてくれる。大作の名に恥じず、ドンパチうるさいだけのB級アクションとの格の違いを見せてくれた。どうしてこんなに知名度が低いのかまったくわからない。普通に『ターミネーター2』とか『スピード』に匹敵するレベルだと思う。

まあ、中東人のテロリストを大正義アメリカが打ち砕くというあんまりにもあんまりなハリウッド脚本にはこの際目を瞑ることにしましょう…

個人的には主人公が飛行機を操縦するシーンが印象的だった。一つの作業を処理したと思いきや警報が鳴り響き、焦りながら原因を探っているうちにもう一方の作業を忘れてしまう、その繰り返し。終いにはスチュワーデスから「運転に集中してよ!」と叱られてしまう。終盤も終盤の一番盛り上がるシーンなんだけど、これはちょっと笑ってしまう。

なんかこういうの経験あるなあと思ったら、これ自動車教習だ。側から見ていると車の運転なんか造作もないじゃんと思うんだけど、実際やってみると焦ってしまって何もうまくいかない。左右確認しながらウインカー出しながらハンドル切るなんてとてもじゃないけど無理。怖すぎ。死ぬ。

だから400人ぶんの責任を背負いながらジャンボジェットを無事着陸させられた主人公にはただただ尊敬の情が湧くばかりだ。

因果