劇場公開日 2014年9月27日

「受け入れがたい時代の価値観」駅馬車(1939) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0受け入れがたい時代の価値観

2013年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

興奮

総合:35点
ストーリー: 30
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 55
音楽: 75

 ものすごい名作だと聞いて、確かまだ小学生か中学生くらいだったときに見たのが最初でした。そのときは殆ど何も映画の情報や先入観無しで見ました。

 しかしそれでも私にはどうも駄目でした。女すらも乗せている駅馬車を獰猛に襲ってくるネイティブアメリカン(インディアン)は完全に悪。白人社会の秩序を侵略し破壊する脅威としてしか表現されていない。しかしなんで自分たちが襲われているのか理由がわかっている? 本当は君らこそが彼らの土地を侵略して彼らを女子供も含めて虐殺しているからこうなっているのではないんですか? それなのにこの一方的な白人目線の描き方は何なんですか? と憤りを感じました。
 そうなるともう馬車の乗員にどんな背景やドラマがあろうがもう駄目。白人たちも少しは痛い目にあって彼らの怒りや苦しみを思い知ったほうがいいんじゃないの、まして自分たちが被害者面なんてしちゃ駄目でしょう、なんてことすら思ってしまったのでした。

 この時代は白人たち支配層こそ絶対の正義な存在で、それを脅かすものは悪だという白黒はっきりつけた価値観が確立されていた。だから戦後の自由で平等な価値観を持つ私には受け入れがたい内容でした。
 もし日本が誰かに、例えばアメリカの白人に侵略されて土地を奪われ虐殺され、それに反抗する日本人を一方的に悪者に描かれて次々に射殺される映画なんてものがハリウッドで作られたらやはり気分悪いでしょう。映画の内容以前に主題が悪いのです。だから私にはとても名作とよべるものではありませんでした。

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Cape God