海の牙

劇場公開日:

解説

抗戦映画の傑作と称せられる「鉄路の戦い」を作ったルネ・クレマンが戦後監督した作品で、「どん底」の脚色者ジャック・コンパネーズがヴィクトル・アレクザンドロフと協力執筆したストーリーを、クレマンがジャック・レミーと協力脚色し、「望郷(1937)」「格子なき牢獄」のアンリ・ジャンソンが台詞を書いている。撮影は「美女と野獣」のアンリ・アルカンが指揮し、音楽はイヴ・ボードリエが作編曲している。出演者は「あらし(1939)」のマルセル・ダリオ、「高原の情熱」のポール・ベルナール、新進のアンリ・ヴィダル、「リビア白騎隊」のフォスコ・ジアケッチ、フロランス・マルリイ、ミシェル・オークレール、新人アンヌ・カンピオン、ジャン・ディディエら。

1947年製作/フランス
原題または英題:Les Maudits
劇場公開日:1948年11月

ストーリー

今次大戦の末期、ドイツの一潜水艦がオスロの基地を出発した。秘密の命令を帯びたフォン・ハウザー将軍、ゲシュタポのフォルスター、その部下のウイリイ、イタリア人のガローシ、その妻で将軍の妾であるヒルデ、ノルウエーの学者エリックセン、その娘イングリッド、フランスの新聞記者クーテュリエらが乗っている。潜艦は敵に遭遇し、短い戦闘をまじえて危地を脱したがヒルデがかなりの重傷を負った。軍医がいないので、その夜フランスの海岸から、一人の医師を無理に連れて来る。医者はギベールといい、ヒルデを介抱するのにも潜艦は南米へ向け走りつづけた。ギベールはヒルデが全快した時、自分は殺されるのだと覚悟する。航海は続けられて潜艦生活になれない客人達は、神経異常となり、中にもヒルデは夫のガローシを面はする有様である。ラジオでベルリン陥落、ヒットラー死亡の報を得るや、絶望したガローシは投身自殺した。燃料が尽きかけた時、艦は南米の某小港に到着した。フォルスターはウイリイを遣し、ラルガに連絡させた。ところがドイツが降伏したので、ラルガは何の指令も受取っておらぬから油はないと、シラを切った。ウイリイも脱走しようとしたが、フォルスターにつかまり、二人はラルガを事務所に訪れ、その場でウイリイはラルガを射殺させられた。潜水艦が出航準備中、クーテュリェも逃亡を企てたが、フォルスターに射殺された。エリックセンも娘イングリッドを残したまま、ゴム製救命艇で逃げ出した。燃料不足のまま潜艦は出港し、何も知らぬ乗組員は最初に出合った船から燃料を奪い、その時はじめてドイツ降伏の事実を知った。将軍等はその船に捕虜として乗うつったが、フォルスターはナチ狂信者の本領を発揮し、その船を撃沈してしまう。ところが潜艦内でも暴動が起り、フォルスターはウイリイに殺され、ギベエルはなぐられて失神した。生き残った乗組員は燃料のない潜艦をすて、ウイリイ、イングリッドと共にボートに乗った。眼が覚めるとギベエルは、ただ一人潜艦に乗っていた、かくて漂流十二日、飢渇で死にひんした時英国船に出合って救われた。ボートで逃れた連中の生死は全く不明であった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第2回 カンヌ国際映画祭(1947年)

受賞

グランプリ(冒険/犯罪映画賞) ルネ・クレマン

出品

出品作品 ルネ・クレマン
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映画レビュー

3.0潜水艦物映画ではなかった

2013年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:55点
ストーリー: 55
キャスト: 65
演出: 65
ビジュアル: 50
音楽: 60

 潜水艦物映画かと思いきや、実のところはそうでもない。舞台が潜水艦で殆どが艦内での撮影であるというだけ。その中で終戦前後の混乱をサスペンスとして描かれた映画。密命を帯びて盲目的にあくまでそれを遂行しようとするもの、戦争終結によって殺し合いから解放されることを望むものなど、それぞれの立場が交錯していく。「海の牙」という邦題にはそぐわない内容である。
 登場人物はそれなりに多いために誰がどんな人なのかが充分にわかる前に物語が進行してはっきりしない。けっこうばらばらに話が進み、全体的に小さくまとまった感じ。音楽や映像も時代を感じる。

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Cape God