或る殺人(1959)

劇場公開日:

解説

若い陸軍将校が妻を強姦した男を射殺するという事件を中心にしたロバート・トレイヴァーのベスト・セラー小説「殺人の解剖学」の映画化。脚本は「追撃機」のウェンデル・メイス、監督は「悲しみよこんにちは」のオットー・プレミンジャー、撮影を「手錠のままの脱獄」のサム・リーヴィットが担当している。出演は「めまい」のジェームズ・スチュアート、「群集の中の一つの顔」のリー・レミック、「モンテカルロ物語」のアーサー・オコンネル、ベン・ギャザラ、イヴ・アーデンら。他に音楽担当者デューク・エリントンや実在の裁判官なども1役買っている。製作オットー・プレミンジャー。

1959年製作/0分/アメリカ
原題:Anatomy of a Murder
配給:コロムビア
劇場公開日:1959年11月14日

ストーリー

ポール・ビーグラー(ジェームズ・スチュアート)は元ミシガン州検事で、今は魚釣りを楽しむ弁護士だった。ある日、彼はローラ・マニオン(リー・レミック)という女性から、夫の陸軍中尉マニオン(ベン・ギャザラ)の起こした射殺事件の弁護を依頼された。被告の状況が不利だとか、担当検事が彼の競争相手だとかで、ポールは乗り気ではなかった。だが今はアル中で落ちぶれているが、昔は有名な法律家だった親友のパーネル(アーサー・オコンネル)のすすめもあり、ポールは引き受けることにした。ローラは挑発的な女で、そこから事件の原因、嫉妬深いマニオンが衆人の中でバーニイ・クイルを殺したかも想像できた。彼女の説明によると、その晩、クイルの酒場からの帰り森にさしかかったときクイルが彼女に挑み、拒否されると暴力で犯したという。マニオンは、事件当時のことは精神が錯乱していて分からないと言う。中央からベテラン検事ダンサー(ジョージ・C・スコット)が派遣されてきた。ポールの証拠集めは、はかばかしくなかった。警察医の報告では、ローラが犯されてないという。検察側は彼女の強姦されたという供述は、男との不倫関係を隠すためだと主張した。パーネルも酒を断って協力したが、有利な判例はなかった。いよいよ公判が始まった。検察側は多くの証人を喚問し、ダンサー検事の巧みな誘導訊問で、被告は不利になるばかりだった。ローラの犯された証拠も出てこなかった。次の公判で、ポールは警察のカメラマンの落度を指摘し、現場で最初に立ち会った警官から、ローラが犯された事実を証明させた。これで殺人動機は明らかになった。陸軍病院の精神鑑定は、マニオンの当夜の行動は不可抗力の衝動、一時的の精神異常と断言した。ポールはミシガン最高裁で「不可抗力の衝動」による抗弁が勝訴になった判例を発見。検察側はこれで旗色が悪くなった。ポールはクイルと特別な関係があると噂されている酒場の支配人メリー(キャサリン・グラント)に会った。彼女を通してバーテンの証言をとろうとしたが、ダメだった。検察側はマニオンと同房の男を証人にたてた。彼は、マニオンが法廷での証言は全部嘘だと言った、と証言する。しかし、この男は偽証罪などの前科者で、検事に指示されて打った芝居と分かった。パーネルはメリーが私生児という事実を発見した。最後の公判で、メリーは事件の翌朝、クイルの寝室のそばで1枚のパンティを見つけたと証言した。それはローラのものだった。検事はメリーをクイルの情婦だと鋭く追求したが、結局はクイルが彼女の父だとわかり万事休した。マニオンは無罪。ところが、マニオン夫妻は「“不可抗力の衝動”で町を去る」という皮肉な置手紙を置いて町を去った。ポールやパーネルに弁護料を払わずに。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第17回 ゴールデングローブ賞(1960年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演女優賞(ドラマ) リー・レミック
最優秀助演男優賞
最優秀監督賞 オットー・プレミンジャー
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映画レビュー

4.0160分もある法廷モノ作品

2020年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ミシガン州のポール・ビーグラー弁護士(ジェームズ・スチュワート)は釣りが大好き、事務員のメイダには給料も未払い状態。さらに相棒となるかつての法律家パーネル(アーサー・オコンネル)は飲んだくれ・・・検事をクビになったばかりで仕事がないのはわかるが、のんびりし過ぎの弁護士事務所。

 そんな彼の元へローラ・マニオンという女性から電話で依頼があるのだが、彼は湖で釣り三昧だったために事件すら知らない。パーネルからとにかく受けろと忠言され引き受けた内容は、ローラをレイプした事実を知らされた夫マニオン中尉がその犯人クウィルを銃殺したという事件だった。

 当初の問題は刑を軽減するか、精神鑑定に持ち込んで無罪を主張するかという点だったが、軍医の精神鑑定で「抗えない衝動」だと認定されたため、無罪を主張する方針になった。さらに、ローラが本当にレイプされたのかどうかという争点も加わり、ビーグラーとしては検察側の主張をあやふやなものにする作戦に出た。こうして検事ダンサー(ジョージ・C・スコット)との対決が始まったのだ。とにかく、この二人の舌戦は凄いです!

 サンダーベイ・ホテルの支配人メアリー・ピラントについての証言はあるものの、二転三転したり、どんでん返しを期待するような作品ではなく、むしろ弁護士と検事の駆け引きを楽しむ映画でした。『アラバマ物語』(1962)のような社会派作品でもないし、コミカルな演出もあるし、どちらかといえば魔性の女ローラの真実はいかに!?的なサスペンス部分にも惹かれてしまう内容でもありました。かなりの長尺のため、もしかするとレイプそのものも無くて、誰かが仕組んだ計画的な殺人だったのか?などとも頭の中が飛んでいったりします・・・

 デューク・エリントンが音楽を担当しているし、スチュワートもジャズピアノを嗜んでいるし、誰かと一緒に酒を飲みながら「あーだ、こーだ」と言って楽しむのも良いかもしれません。

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kossy
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