アラン

解説

地質学者、探検家たるとともに「モアナ」「ナヌーク」の作者であり、「タブウ」「南海の白影」の協力者たりしロバート・フラハティがアイルランドの西にある孤島アランに於て撮影十八ヶ月に渉り完成した記録映画で脚本はジョン・ゴールドマンの手になり、製作にはフラハティを助けてゴールドマン及びフランシス・H・フラハティが協力し、なおアラン島人パット・マリンもその補佐に当ったものである。出演者はいずれもアランの島人ばかりであるが、コルマン・キング、マギー・ディレーン、マイケル・ディレーンの三人が主役を勤めている。伴奏音楽はジョン・グリーンウッドの手になるもので、アラン島に伝わっているアイルランドの民謡を基としている。

1934年製作/イギリス
原題:Man of Aran

ストーリー

アイルランドの西にアランと呼ばれる島がある。この島には土壌がなく、ただ岩石のみから出来ている。そして浪と風とが毎日の様に、この孤島を苛めさいなんでいる。だが、この鳥にも人は住んでいる。極く僅かの数である。何故といって弱い人には此の島には住む事が耐えられぬからである。虎と綽名されたキングと妻のマギーと二人の間の子と、この三人からなる一家族はこのアランの代表典型的な人々である。夫は一日を浪の上で暮し、妻は畑を耕し、息子は父の業を見習う。春の日の午後、夫は妻を助けて畑を耕した。畑といっても土のない畑である。夫は槌を振って岩を叩き砕く。息子は平らになった岩の上に肥料になる様にと昆布を敷く。で、この間、妻は島中を岩と岩との間に乏しい土を探し集めるのである。そして此処に尊い土で貴重な畑を作る。島に夏が訪れると海には鱶の群が現れて来る。この鱶の肝臓を煮詰めて取った油は長い冬に島を照らす唯一の灯の材料となるのである。目ざした巨鱶の背中に銛を打ち込んだまま荒れ狂う鱶に引きずられて島人の船が二日二晩も海の上を漂う事も珍らしい事ではない。で、漸く鱶の力が尽きたとなると彼等は妻が大釜を用意している島へ漕ぎ寄せるのである。秋が深まると海は荒れて来る。白い浪頭が岩を噛み、引浪の音が雷の様に響く。それでもキングは海に出て行く。小さな船は浪に弄ばれる。巌頭では妻と子とは夫の無事を祈りつつそれを眺める。やっと夫の船は岸へと帰って来た。だが、その時に船は浪に攫れて行かれる。船を失った漁夫。だが、それが何であろう。夫は無事に帰って来たのだ。命を全うした事は感謝されねばならぬ。これは自然の恵みの表現なのだ。そうして夫と妻と息子とは家へと帰る。アランの島にはもう冬が近い。

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