「バッハのマタイ受難曲にまた遭遇!」アッカトーネ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5バッハのマタイ受難曲にまた遭遇!

2022年4月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

難しい

寝られる

「テオレマ」「王女メディア」では寝なかったがこれは少し寝てしまった。映ってるのはローマ郊外の埃っぽい地域で仕事もしない若いゴロツキ男達、売春婦。遠くには日本の戦後復興同様に団地がどんどん建築されてる、そんな頃が舞台。そっかー、1964年東京オリンピックの前はローマ・オリンピックだったのかー(と「いだてん」の世界に少し浸る)。そのドラマではまあちゃん(阿部サダヲ)の右腕役の松坂桃李くんがオリンピックの事前調査でかなり長いことローマに滞在する。桃李くんはすっかりイタリア男系イケメン=サングラス&金ネックレスといういでたちで帰国し笑った。主人公のアッカトーネもサングラスはないけどそんな感じのゴロツキ。

映画終演後、パゾリーニを大学での研究テーマとした野田雅夫さんのリモート・トークがありとても良かったです。イタリア映画初心者である自分にとっては情報量多く親切な説明でした。

「テオレマ」でも思ったのですが、中東みたいな荒野、一人の若い男、貧しいけど生き生きとした生活が壊され、野性味やキラキラした生命力が失われてゆく、その流れへの異議申し立てがパゾリーニのテーマの一つ・・・なんだろうか。まだよく分かんない。音楽の使い方はユニークというかいきなり感満載で不思議だ。ゴロツキや奇妙な主人公なのにマタイ受難曲が、テオレマではレクイエムが流れる。うーむ。アップもすごく多い。セリフは少ないけど凝ってる気がする。

パゾリーニの初めての作品「アッカトーネ」をスクリーンで見ることができたことをまず幸せであると思い、パゾリーニの著作や詩も読んでみたいと思った。

talisman