劇場公開日 1987年9月26日

「DVD再発記念レビュー」アクエリアス(1986) かもしださんの映画レビュー(感想・評価)

5.0DVD再発記念レビュー

2011年12月6日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD、VOD

怖い

原題:AQUARIUS
  :STAGE FLIGHT
  :BLOODY BIRD

前衛ミュージカルの稽古場。
初日を一週間後に控え、納得のいかない舞台に演出家のピーターは機嫌が悪い。
険悪な空気が漂う中、稽古中に足を捻挫してしまったアリシアは、コッソリその場を抜け出し、衣装係のベティに付き添われて病院へと向かう。
しかし、そこは精神病院。
近くで開いているのがここしかなかったのだ。
応急手当をしてもらい帰路についた2人だったが、病院から抜け出した殺人犯の元俳優ウォレスが車のトランクに潜んでいるとは知らず…

「歓びの毒牙」からD.アルジェント製作の「デモンズ」までを扱ったアルジェント作品のメイキング映画「鮮血のイリュージョン」において、見事な編集と構成力を見せ付け、その才能を遺憾なく発揮したミケーレ・ソアビ監督。

本作は、アルジェント作品の助監督を努めた経験もある、そのソアビ監督による初メジャー作品です。

スラッシャー映画の形態を取りつつも、密室を舞台にした設定は素晴らしく、怯えおののく劇団員の目前で次々と殺戮が繰り広げられる展開は、息つく間もありませんでした。

鍵を失い、出入り口の扉が開かなくなった劇場。

真夜中の稽古中に閉じこめられた劇団員。

限定された空間と限られた登場人物。

低予算の基本を押さえながらも、ひらすら派手な殺人シーンに心血を注ぐ辺り、
「さすがイタリア小僧❕」
と、狂喜してしまいました😅

また、アルジェントに学んだソアビの映像は非常に美しい‼

そこに彼独特の幻想的な雰囲気が加わり、とてつもなく耽美的なシーンを産み出しておりました。

物語終盤、殺人鬼を中心に舞台の上に広がる恐ろしくも美しい光景に絶句する事間違いなしです(って、言っていいのか?😅)

ところでソアビは役者としての顔も持ち合わせおり、本作でも間抜けな警官役で出演しています😅

「俺ってジェームズ・ディーンに似てるよなぁ」と、ナルシスト丸出しの発言していた警官です😅

確かに男前😅

本作後、数本の映画を監督したソアビは、身障者の息子の世話をする為、「デモンズ95」を最後に監督業を退きました。

業界を去る人の思惑は様々ですが、家族を考え身を引く潔さに共感出来ます。

正直、彼の作品をもっと観たかった気持ちはアリアリなんですけどね😅

かもしだ