愛情の瞬間

劇場公開日:

解説

「賭はなされた」のジャン・ドラノワが監督する恋愛心理映画一九五二年作品。オリジナル・ストーリー及び脚色をジャン・ドラノワ、アンリ・ジャンソン(「アンリエットの巴里祭」)、ローラン・ローダンバックの三人が協力、ジャンソンが台辞をかいた。撮影は「七つの大罪」のロベール・ルフェーヴル、音楽は「恋路(1951)」のポール・ミスラキの担当。「落ちた偶像」のミシェル・モルガン、「快楽」のジャン・ギャバン、「愛すべき御婦人たち」のダニエル・ジェランが主演し、ほかにドニーズ・クレール、「リゴレット」のドリス・デュランティ、リア・ディ・レオ、シモーヌ・パリ、「七つの大罪」のロベール・ダルバンなどが助演する。

1952年製作/フランス
原題:La Minute de Verite
配給:東和
劇場公開日:1954年5月13日

ストーリー

結婚十周年を迎えた医師ピエエル・リシャアル(ジャン・ギャバン)は、その日の夕方、ムウラン街のガス自殺者の部屋で、自殺した青年と舞台女優の自分の妻マドレエヌ(ミシェル・モルガン)が一緒に写っている写真を見た。帰宅して、妻にその写真を見せると、彼女は静かに語り出した。--戦時中アトリエ座の公演で、彼女は絵描きの青年ダニエル(ダニエル・ジェラン)に話しかけられた。彼は足繁く彼女の楽屋を訪れて愛を告白した。マドレエヌの友達モニが堕胎に失敗してペニシリンが必要になったとき、ダニエルが闇のペニシリンを手に入れてくれた。感謝の気持から彼が似顔絵描きをしているキャバレーを訪れたとき、ダニエルは客と喧嘩して傷を負った。彼女は彼をアパートへ連れ帰って介抱したが、彼はなおも、マドレエヌに求愛するのだった。その情熱にひかれたマドレエヌは、彼を忘れるため、イタリアへ旅興行に出かけたりした。あるとき一座の仲間と気晴らし旅行をしたときアッシ高原で図らずもダニエルに会い、久しぶりの出会いに二人は熱い接吻を交した--。ここまで告白したとき、怒ったピエエルは別れ話を切出した。その時電話がかかり、電話器をとったピエエルは、ダニエルの死を知った。彼は妻に知らせず、話のつづきをうながした。--二日前のこと、ダニエルからの再三の電話にまけて翌日の四時にアパートを訪ねる約束をした。その夜おそく帰宅するとピエエルが居らず、行先をかいた紙片があるだけだった。そこへ行って見ると、ピエエルは貧民窟で病気の子供の介抱をしていた。その姿を見て、彼女は今まで知らなかったピエエルの立派な一面を知った。約束通り四時にダニエルを訪れた彼女の態度は、はっきり素気なかった。ダニエルはアパートのおかみに郵便の投凾を頼み、二人は形だけの接吻をして別れた。--告白が終るころ夜は明けそめた。彼女は、もう彼には会わぬとピエエルに誓った。ピエエルはもう怒ってはいなかった。女中がもってきた朝の郵便は、ダニエルが昨日おかみに投凾をたのんだ遺書であった。泣きくずれるマドレエヌにピエエルはさっきの電話が彼の死の知らせだったと告げた。出勤するピエエルと登校する一粒種のシモォヌの後姿を窓から見送りながら、マドレエヌの眼からはとめどなく涙がこぼれた。

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