劇場公開日 2020年10月3日

  • 予告編を見る

「観る価値がありすぎた」ヨコハマメリー Arcoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5観る価値がありすぎた

2016年6月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

何か面白そうな映画はないか?と検索していると、不気味な画像が飛び込んできた。
ホラー映画と見間違うかのような、強烈なパッケージ画像だった。

よく見ると、白塗りの濃いお化粧に、フリフリのドレスを着た老女が、気品のある笑みを浮かべている。
これがメリーさん、実在した人物だ。

戦後の横浜で外国人将校を相手に娼婦をし、時代が移り変わっても街角に立ち続けたメリーさん。
その異様な風貌から、横浜で知らない人はいないほどの『謎のホームレス』となったが、いつの間にか姿を消す。
そんなメリーさんを追ったドキュメンタリー、それが『ヨコハマメリー』である。

彼女と接点のあった人々が語る、気高きメリーさんの姿や、激動の時代背景。
そして、メリーさんを映した貴重な映像。
どのシーンも、観る価値がありすぎた。
こうして映画という形になって世に残り、本当に良かった。

昔、根岸家でお座敷芸者をしていた五木田京子さんが、力強く三味線を鳴らしながら歌う姿も必見だ。
魂を揺さぶられること間違いなし。

当時、根岸屋に通っていたヤクザなおじいさんの口から飛び出す『刑務所』『○ちん』などの言葉にはドキッとしたが、これがまた味があって良い。

癌と闘ったゲイのシャンソン歌手、元次郎さんも素晴らしかった。
特に、映画終盤で歌う姿に心が震えた。
あのシーンでの大きな感動は、メリーさんに思いを馳せる全ての人々に、あたたかな余韻を残すだろう。

Arco