劇場公開日 1953年10月7日

「余りに痛く悲しい」ひろしま bluetom2000さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0余りに痛く悲しい

2020年7月10日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

この映画、広島の友人に聞いた気がする。数年前に見た原爆ドームは、映画に登場するのと比べるとだいぶ劣化している気がした。日頃見ている友人もそう話していた。70年の歳月だもんな。
作品中、このドームに入って記念写真をとるアメリカ兵をみて虫唾が走った。が、それを淡々と映像に残したのは立派。戦争終結した自負か、戦勝国のおごりか。亡くなった市民への追悼は感じられなかったが、これが当時の風潮だったのだろう。
ピカドンと直後の静けさ、気が付くとうめき声、その時、伊福部の音楽がフェイドインしてくる。悲しく辛く忘れられないシーンだ。
被爆、その後の混乱、月日が流れても白血病。この映画でも一部しか表現できなかったろうが、被爆後の悲惨な様子や生きても付きまとう死への恐れは、痛いほど伝わった。長崎に住んでいた時は、8月9日に被爆者のお話を聞く登校日があったのを思い出した。
日教組製作なので、立派な教師と生徒たちの信頼関係も良く伝わった。朝鮮戦争が背景になると思うけど、大砲の弾を作るのが嫌で工場をやめた少年の痛い気持ちが印象的だった。

Bluetom2020