「春情鳩の街」より 渡り鳥いつ帰る

劇場公開日:

解説

永井荷風の『にぎりめし』『春情鳩の街』『渡鳥いつかへる』を久保田万太郎が構成し、「風雪講道館」の八住利雄が脚色、監督は「おふくろ(1955)」の久松静児、撮影は「春の渦巻」の高橋通夫と「男ありて」の玉井正夫が共同で担当、伊藤熹朔が美術監督に当っている。出演者は「月は上りぬ」の田中絹代、「浮雲」の高峰秀子、「鬼斬り若様」の水戸光子、「天下泰平」の久慈あさみ、「男ありて」の岡田茉莉子、「この世の花」の淡路恵子、「番場の忠太郎」の桂木洋子、「次郎長遊侠伝 天城鴉」の森繁久彌のほかに太刀川洋一、織田政雄、春日俊二、植村謙二郎、藤原釜足、左卜全など。

1955年製作/128分/日本
原題:Street of Wandering Pigeons
配給:東宝
劇場公開日:1955年6月21日

ストーリー

吉田伝吉は戦禍の中に妻千代子、娘トヨ子を見失ない、馴染みの女おしげにひきとられ鳩の街の「藤村」の主人になる。自分に夢中の時計工寺田を嫌いぬく疳癪持ちの栄子、母親と娘照子を養う為に客から金銭をせびる苦労性の民江、一緒になれる日を夢みて情人武田に金を貢ぐ種子、恋愛と称して客の選り好みをするアプレ娘街子。彼女等は「藤村」に働いている女達である。千代子は善良な佐藤由造に救われたのが縁で一緒におでん屋を開いている。鈴代は鳩の街の生活から足を洗い、その時の恩人松田、村井と共に流しの歌手をしている。民江は病気になり家へ帰り、栄子は寺田から逃れる為に伝吉を誘惑して駈け落ちをする。武田が帰らないので絶望している種子は失意の寺田と同情し合う。駒形のどじょう屋で千代子、由造、栄子、伝吉は偶然出会う。千代子が娘を育てているのを知り、伝吉は由造の店を訪ねるが自分の立場を知ると離婚届に捺すべき印鑑を置いて飛び出す。警察に追われる武田は、手紙と返済金一万円を種子に渡す様にと鈴代に頼む。鈴代は手紙だけ渡し、金は胸を病む松田の医療費に取って了うが、松田は鈴代と村井の幸せを希って帰郷する。寺田は種子と死ぬつもりで家を出るが、自棄酒に酔った伝吉が川に落ちるのを見ると種子をおき去りにする。伝吉と種子の「心中した」死体があがりおしげは驚く。街子は種子の持物を持って逃げ、民江は子供が入院したので無理に働きに出る。鳩の街の生活は今日も続けられる。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0戦後の東京の娼館での人情劇

2015年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

2015/09/22、川崎市市民ミュージアムで鑑賞。
昭和27年、売春防止法が施工される前の東京の下町の娼館での人情劇です。DVDも出ていないようなので、貴重な機会に観に行きました。
森繁久彌が若い、髭もないし最初に出てきた時、気が付かなかった。浦辺粂子さんもでていましたが、こちらは当時52歳くらいかな?すでにおばあさん顔でしたw高峰秀子は当時客を呼べる女優として出演したようですが、なかなかどうして汚れ役を見事に演じています。
娼婦している女も、それを管理する側も客もいろんなのが出てきますが、清濁合わさっていてそれぞれ人間味があっていいですね。
森重久彌が演じる伝吉がロクでもないんですが、調子に乗った挙句、最後悲惨なことになるんですね。そんなに悪人というわけじゃないんですがね。
民主主義という言葉がなんかよく作中で使われているのですが、どこか皮肉っぽいんですよね。こういう底辺の暮らしの人たちには虚しいお題目のように聞こえていたんですかね。

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