路傍の石(1960)

劇場公開日:

解説

山本有三のおなじみの小説の今回は三度目の映画化。「国定忠治(1960)」の新藤兼人が脚色し「飛びっちょ勘太郎」の久松静児が監督した。撮影は「別離」の杉本正二郎。

1960年製作/104分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1960年5月15日

ストーリー

明治の末期。由緒ある士族の家に生れながら町の人々との間に係争を起し、訴訟にあけくれる父庄吾と、手内職で生計をたてる母おれんに愛川吾一は育てられた。小学校六年の吾一は新しくできる中学に入りたかった。受けもちの次野先生も頭のよい彼を進学させたがった。金持の呉服商伊勢屋の息子で、成績のわるい秋太郎が進学するときいて、吾一は腹立たしかった。食べていくにもせいいっぱいの生活では、彼の進学はとても無理だったのである。次野先生は書店いなば屋の黒川安吉に吾一の学資のことを相談した。が黒川は生一本の吾一の父庄吾のことを考えると、学資を出せなかった。正月になり、子供たちが松小屋に集って遊ぶ季節がきた。みんなが自慢話をはじめた時、もののはずみで吾一は、汽車の走ってくる時鉄橋の枕木にぶらさがったことがあると話してしまった。それを証明するため、彼はみんなの前で鉄橋の枕木にぶらさがらねばならぬことになった。次に吾一が目をさましたのは病院の寝台の上だった。次野先生は自分をもっと大切にするよう彼を叱った。伊勢屋の番頭忠助が、借金のかたに吾一を奉公に出すよう言ってきた。卒業するとすぐに吾一は丁稚奉公に出た。伊勢屋で彼は「五助」と呼ばれ、苦しい毎日をおくるようになった。友達だった秋太郎や、その妹おきぬも彼につらくあたった。間もなく母のおれんが心臓病で倒れた。父の庄吾には電報がうたれたが、彼は帰ってこなかった。葬式もすんだある日、吾一は上京するという次野先生に会った。悲しみに沈んだ吾一の気持も知らず、主人や忠助は彼を叱った。おきぬまでが靴の手入れが悪いと彼にあたった。吾一の怒りは爆発した。おきぬの靴を玄関にたたきつけた彼は、りんとした声で今日かぎり勤めをやめると告げ、東京行きの汽車に乗った。

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