四人目の淑女

劇場公開日:

解説

「たそがれの密会」の陶山鉄の製作「誘惑(1948)」「火の薔薇」「わが生涯のかがやける日」の新藤兼人の脚本を「受胎」の渋谷実が監督する。カメラは「追跡者」「わが生涯のかがやける日」の長岡博之が担当、音楽は服部良一である。キャストは森雅之に「たそがれの密会」「火の薔薇」の浜田百合子が東宝から出演「一寸法師(1948)」の月丘夢路等が出演する。

1948年製作/91分/日本
配給:松竹・京都
劇場公開日:1948年12月23日

ストーリー

六年振りに踏む事の出来た故国の地、懐かしい地。焼土と化した東京であった。頼る者もいない東京。いや彼、吉田和夫には、音楽学校時代の親しい女友達が四人いたはずだ。訪ねてみよう、一人一人。そして最初の一人藤川佳王子。没落貴族の娘、虚飾に彩られ、その為に金の奴れい化されている女。彼女は今、金の力に屈服して、新興成金古川隆吉に稼ごうとしている。その佳王子の前に汚れた復員姿の和夫が現れた。にべもなく冷たい彼女の態度、惨めな気持ちで和夫は第二の人、町田時代を訪ねた。銀座地下室のダンスホース、真紅のルージュ、時代はこのホールの唄い女。彼女には余りタチの良くないヒモがいる。ピアノ引きの光ちゃんという男。ボロボロ服の和夫は問題にされぬ。もはや世界の違う人種。彼は第三の人、林原好江を求める。彼女は流行歌界のトップシンガー。でも今喀血して倒れ病院にいる。彼女を取り巻いて三人の男の醜い争い。劇団の支配人、芸能社の親方、レコード会社の総務、金だ。総ては金であった。その病院にやって来た和夫。体よく男達の一人に追っ払われる。好江までも自分を忘れてしまったのか。最後の人、佐川孝子。彼女は鎌倉の海岸新月荘を借りてナイトクラブを経営している。和夫の予想は総て裏切られ、女達は会えなかった好江を除いて総て金の為に身も心も売り払い、金が世の中を支配するといった。和夫には信じられなかった。金だけが総てだろうか。「お金が総てを解決するのよ、うそだと思ったら試してごらんなさい」孝子はいい切って、和夫に多額の金を渡した。和夫は金を持って再び最初から女を訪ねて歩いた。そして金の力をいやという程知らねばならなかった。やはり金がすべてのものを支配するのだろうか。金、金、金、だが一人の女の真実が、金の総てでない事を示してくれた。しかもそれは死の物語であった。林原好江は道田和夫の事を憶いながら死んでいったのである。

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