幽霊曉に死す

劇場公開日:

解説

マキノ正博が主宰するC・A・C(映画芸術協同)と新演伎座とのユニット作品で「ぼんぼん」以来長谷川一夫が一年ぶりに出演する。脚本は「親馬鹿大将」「狙われた女」の小国英雄、演出は「肉体の門(1948)」につぐマキノ正博で、カメラは「愉快な仲間(1947)」の三木滋人の担当。出演者は長谷川一夫のダブルロールの他「肉体の門(1948)」の轟夕起子、月丘千秋、「野球狂時代」の沢村貞子に斎藤達雄、飯田蝶子、「母(1948)」の徳川夢声、新派の藤村秀夫、村田正雄、花菱アチャコ、「武装警官隊」についで流行歌手の田端義夫等が特出する。

1948年製作/97分/日本
配給:C.A.C.
劇場公開日:1948年10月12日

ストーリー

小平太と美智子の静かな結婚式、教会の中には二人と牧師とオルガン弾きの他だれもいないはずだが、低い微かな男の声が聞こえる。それは生きている人の声ではないが、優しい愛情のある声である。さて結婚はしたけれど金はなく、山の手線を二回まわって新婚旅行の気分を出し、今度は温泉だと街の銭湯ののれんをくぐった。小平太の勤先の新制中学校では職員生徒一丸となって非民主的な校長を追放しようと決議文をたたきつけたが、がん強な校長に一同は押され気味である。その時小平太が立上がって「あくまで校長の退陣を要求します」と叫んだ。すると教会で聞いたあの声が「よくやった!」と聞こえてくる。ところが小平太は学校をクビになってしまった。やむなく小平太は叔父の平次郎のもとを訪れて、就職を頼むが全然相手にしてくれず、結局軽井沢の幽霊屋敷とうわさのある柳蔭荘の留守番に行く事になる。小平太と美智子は軽井沢で小平太の幼馴染太三郎とかいこうしたが、柳蔭荘へ行くと聞いた太三郎はふるえ出してしまった。さて問題の柳蔭荘はくもの巣とほこりの山で無気味なふん囲気に二人はオッカナビックリで夜を明かした。翌日、客間のソファの向こうから葉巻の煙がユラユラと立上っているので「マア素敵」と美智子がかけよってみると、小平太と瓜二つの男が旧式の洋服を着てすわっている。小平太と似ているはずでそれは三十歳で死んだ小平太の父の生きている幽霊である。柳蔭荘は父の住まいであった、親子三人水いらずの楽しい生活が始まった。父が恨めしやァというわけは父の財産が叔父達親類の者に横領されているというのだ。そこへ平次郎始め親類一同の者が柳蔭荘売渡金の事で現れる、だが柳蔭荘は太三郎の父の太七郎の名義なのだ、太七郎は親友が成仏しきれないでいると聞き柳蔭荘に現れこの家は私の名義ですと書類をつきつけたので、親類一同完全に敗、小平太の父は小平太と美智子に名残りを惜しみつつ、太三郎の供養義太夫に送られて、暁の雲のはて遠く成して行く。……

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