劇場公開日 1988年4月16日

「これは反戦映画ではない。どちらかと言えばウシジマ君に近い。」火垂るの墓(1988) tさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0これは反戦映画ではない。どちらかと言えばウシジマ君に近い。

tさん
2018年4月21日
PCから投稿

泣ける

悲しい

この火垂るの墓。大人になって随分と見方が変わった映画の1つ。
昔は反戦映画だと思っていたけれど、いまは痛烈な現代社会風刺映画にしか見えない。
というのも清太は、現代で言えば、女を不幸にする男の典型・・・というか単なる甲斐性なしの男の人生を描いているとしか見えない。まあそういうダメ男に対して女の方もそれで満足してるなら、それはそれで幸せなのかも知れないが。その結果として待っているのは破滅である。
戦争があろうとなかろうと、こういう男は今の時代にも結構たくさんいる。
現代であれば、そんな甲斐性なし男でも、離婚したり、親の脛をかじって生きて行くことができるが・・・。
分かりやすく言えば、この清太君、ウシジマ君に出てきそうな感じなんだよね。僕的に言えばだけど。

自分はそれが悪いとは思わない。人生ってそういうもんだよな、と思うだけであり、明日はわが身である。

ここまで救いがなく描くことができたからこそ、
火垂るの墓は何故かわからないが忘れることのできない映画なのだと思う。
高畑勲さんご冥福をお祈りします。

t