変奏曲

劇場公開日:

解説

10数年ぶりに再会した過去をひきずる男と、過去を捨てた人妻との再生を賭けた恋をめくるめくセックスの官能の中に描く。原作は五木寛之の同名小説。脚本は市古聖智、監督は脚本も執筆している「混血児リカ ひとりゆくさすらい旅」の中平康、撮影は浅井慎平がそれぞれ担当。

1976年製作/110分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1976年2月7日

ストーリー

1972年、夏のパリ。工芸品の買い付けにプラハに旅立った夫を送った杏子は、とあるカフェで森井統三と再会した。男の姿は、遠い時間を逆流させ、10数年前の彼を思い出させた。大学生の頃、学園祭で人形芝居を公演していた杏子は、警官に追われて楽屋に飛びこんで来た森井を助けた。このことが二人の結びつきのきっかけだった。その年の秋、森井は警察に追われて、突然、杏子の前から姿を消した。その森井が、今、杏子の前にいる。そして、今なお、国際的な政治組織に属し、運動を続けている。森井は杏子を自分の部屋に誘った。杏子はベッドの上で森井に寄りそった。だが、彼は危険な活動を続けているうちに神経をすり減らし、不能に陥っていた。杏子は不意に森井に対し暖かな感情をおぼえた。「この街をはなれましょう、二人だけで」杏子は少しの迷いもなく彼に囁いた。二人はオルリー空港から南仏のマントンに向った。マントンの町は、毎年この町で催される有名なコンサートのためホテルは満員だったが、やっと古風なホテルの一室を借りた。部屋に入った杏子は、森井のあらゆる感情を刺激して回復させようと試みたが、徒労に終った。マントンに来て三日目。気分転換のためニースに行った二人は、杏子の夫の友人である水品に声をかけられた。彼は金髪の女性クリスチーヌを連れており、彼もまた内緒の旅たった。誘われるまま、水品のアパルトマンに四人で向かい、杏子と水品、森井とクリスチーヌというカップルが自然にでき、杏子は水品の腕の中で喘いだ。帰りの車の中で、森井はクリスチーヌとの間では可能だったことを杏子に告げるが、ホテルに帰ってからは杏子の裸体から目をそらせるのだった。夏の夜空にくっきりと浮ぶサンミッシェル教会の前庭では満員の観客を前に、世界的なチェリスト、オイストロボーヴィッチのチェロが奏でられている。切符を持たない二人は、民家のベランダからこの音楽祭をながめていた。森井はその音色に心を奪われているが、杏子は背後の部屋の中でからみあう男と女をのぞきながら、自分自身を慰めていた。演奏が終り、二人は心がまじりあわないまま夜の浜辺を歩いた。「どういうふうに生きようと、その死がぼくときみをつないでくれる……ぼくは君のためなら死ねる」森井はそう杏子に語った。二人は激しく抱きあった。森井は杏子に押し入って行き、杏子の爪が森井の背中を深く引き裂いた、この短い旅の代償として今の安楽な生活を捨てよう、杏子はそう決心してパリに帰った。ところが、森井のアパートには、彼の組織の仲間が待ち受けており、森井が失踪した原因を追求すべく連れ去って行った……。

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