劇場公開日 1994年7月16日

「妖怪パレード」平成狸合戦ぽんぽこ Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0妖怪パレード

2019年5月5日
iPhoneアプリから投稿

開発による自然破壊をテーマにしながらも、決してそれを悪としてのみ扱わない。むしろ問題としているのは、開発行為そのものよりも、それまで自らも属した環境を喪失することに無頓着であることであり、最後に観客に直接投げかけられるメッセージは、タヌキへの憐れみよりも、人類がしたことへの総括を人類自らが顧みることを促す。
生物は、生き物である限り、所与の環境でやっていくしかない。都会のカラスもそうだが、タヌキは母数を減らしても、排水溝の中でも、残された自然の中でも生きていく。無論、幸せな話ではない。淘汰された者も種もある。しかし、人は人として生き、動物は動物として生き、動物は人に駆逐されたかも知れないが、人は人で駆逐した後の環境で生きていかなければならない。
作品から25年経ち、多摩ニュータウンは既にオールドタウンとなっている。高齢化が進み、孤独が社会的な命題となっている。人間だって頑張らなければならない。

Kj