劇場公開日 1976年8月28日

「商社での受注合戦の裏側の描き方は面白いが」不毛地帯 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5商社での受注合戦の裏側の描き方は面白いが

2014年7月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:65点|音楽:60点 )

 「この映画の主人公および登場人物、その他いっさいに特定のモデルはありません」という白々しい字幕から始まるが、実在の総合商社の次期戦闘機の受注合戦を描いていて、「特定のモデル」はわかりやすい。商社と航空機製造会社と政治家と防衛庁が登場し、情報収集に裏工作と権謀渦巻く受注合戦の裏側がよく調べられている。その過程であるものは潰されていき、あるものは生き残り成功し、厳しい競争を浮かび上がらせる。
 だが登場人物が多くて顔と名前と立場を把握するのが大変だった。原作は大作らしいので致し方ないが、解説を読みながらじゃないとついていけなかった。それとシベリアの話に次期戦闘機の話が出てきたが、主人公の壱岐の話としては物語の流れがどちらも中途半端。シベリアでは苦労したんだなとはわかるがそれは本筋の戦闘機の話とは殆ど関係ないし、主人公の今後を考えると戦闘機の話の終わり方も一つの仕事の終わりにしか思えず、すぐに次の話がありそうな締めくくりになっている。実際、調べてみると原作はこのあとの話が続くようで、この一作だけを観ると簡潔したという気にならなくて物足りなさを覚える。社会派作品としての面白さがある一方で、壱岐という一人の男の半生を描くにしては不完全があった。映像・演技にも古さがある。

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Cape God