劇場公開日 1980年6月28日

「"人生はいいものだ"」復活の日 tabletapさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0"人生はいいものだ"

2022年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

前から見ようと思っていたが手を出していなかった作品
録画データの整理中に見つけてつい見始めたら
ウィルス蔓延、核戦争危機と2022年現在タイムリーな内容だった

監督深作欣二
原作は『日本沈没』の小松左京
若き日の草刈正雄、千葉真一、緒形拳が出演
音楽は羽田健太郎
と大変豪華

紛うことなき日本映画であるが
ほぼ全編英語で展開され、潜水艦シーンや
各ロケ地は当時にしてはお金がかかっている印象
今の邦画の低コスト小規模感はこの時代の映画にはないのでとてもいい

"理性のある人間だけが権力を握るとは限らない"
"愚か者は米国にだけ居るわけではありません"
などのセリフがいい、特にソ連将校は抜群に面白い

以下印象深いシーン
※角川のDVD紹介に書いているのでネタバレありにはしてない

ドローンによる撮影
大量の遺体と火炎放射器
疲弊する医療従事者
無線の向こうの無力
ポーランドとソ連など各国代表の関係にニヤリ
人間の本能的問題にきちんと触れる
ヨシズミとカーターの殴り合いのシーン
潜水艦乗船シーン、敬礼ではなくお辞儀がいい
美しい音楽を背景に海原を行く潜水艦ネレイド
水面を背景にシルエットが格好いい
時代を超えて愛されるコカ・コーラ
オベリスクを背景に走るシーン
荒れ果てたホワイトハウス
映画お約束のタイムリミット感
"Life is wonderful"
『博士の異常な愛情』の『また会いましょう』が脳内再生
世界は二度死んだ
かつての文明の痕跡、過酷な道のり
無邪気さと絶望
そして希望へ

南極基地、潜水艦、地下司令所、ホワイトハウスなど
映像的に見ていて面白いセットで
ストーリーも音楽も役者も良好

今見ると色々とツッコミどころがあるのが少し残念なのと
さりげない人物描写がもう少しあればなお良かった

どうも『アンドロメダ病原体』を彷彿とするなぁと思ったら、影響を与えていたらしい
そしてアンドロメダ病原体の変異シーンは『エヴァンゲリオン』に影響している
この一連の流れに健全な文化的進歩というものを感じた

tabletap