劇場公開日 1942年12月8日

「「トラ・トラ・トラ!」のスタッフはこの映画を参考にした?」ハワイ・マレー沖海戦 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「トラ・トラ・トラ!」のスタッフはこの映画を参考にした?

2021年5月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

日本の戦意高揚映画というものは
全てそうなのか私には判らないが、
“海軍省検閲済”と“後援海軍省”と
タイトルバック擬きでの表示があるだけで、
エンディングも含め、スタッフ・キャストが
一切表示されないのには驚かされた。

それにしても、この作品の中での、
神々に守られているという思い込みと
精神論を振り回す軍隊内空気感の描写は、
敗戦した理由を証明しているかのようだ。

“精神論”は力が拮抗している時は
有効でもあるが、国力の優劣に差がある時
の劣る国側にとっては、国民を苦しめる
有害な要素にしかならない。

一部の特撮シーンをGHQが記録映画と勘違い
したとのエピソードは眉唾物だが、
流石に円谷英二、戦闘シーンは
記録フィルムと特撮を併用しつつも、
戦艦が並ぶ真珠湾の俯瞰シーンや、
戦艦が轟沈する場面、
また、米軍機が炎を上げての墜落シーンは、
時代を考えると驚くべき特撮技術だ。

この映画は、
ノンフィクション「黒澤明VSハリウッド」
→「トラ・トラ・トラ!」
→「ハワイ・マレー沖海戦」の流れで鑑賞した
が、注目すべきは、
真珠湾での戦艦雷撃
~飛行場空襲
~戦闘機のドッグファイト
との流れはあまりにも「トラ・…」に
極似していることだ。
「トラ・…」のスタッフは、
この映画をかなり参考にしていたのでは
ないかと想像したのだが。

KENZO一級建築士事務所