同胞 はらから

劇場公開日:

解説

岩手県のとある農村を舞台に、東京の劇団のミュージカルを公演しようとする青年団の活動を描く。脚本は「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」の朝間義隆、監督は脚本も執筆している同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。

1975年製作/127分/日本
原題:The Village
配給:松竹
劇場公開日:1975年10月25日

ストーリー

岩手県岩手郡松尾村は岩手山の北麓、八幡平の裾野に広がり、四つの集落からなっている、人口七二〇〇、戸数一七〇〇の村である。斉藤高志はこの村の青年団長で、酪農を営んでいる。兄の博志が盛岡の工場に通っているので高志が農事のすべてを切りまわしている。村の次、三男のほとんどが都会へ出て行き、残った青年たちも東京・大阪方面へ出稼ぎに行って閑散している三月半ば、松尾村を一人の女性・河野秀子が訪れた。彼女は東京の統一劇場のオルグとして、この村でミュージカル「ふるさと」公演を青年団主催でやって欲しいと、すすめにきたのだ。秀子の話を聞いた高志は、公演の費用が六五万円かかるため、青年団の幹部が揃う春になってから理事会をひらいて検討することを秀子に約束した。五月、桜が咲く遅い春。青年団の理事会がひらかれたが、公演費用に責任を持ちかねるという強硬な反対意見が出された。何度も理事会が行なわれ、意見の交換がくり返された。しかし、高志の「赤字になったら俺が牛を売って弁償する」との一言で、公演主催が決った。夏が来た。目標六五〇枚の切符が、青年団全員の必死の活動で目標をオーバーするまで売り切った。公演三日前、会場に予定されていた中学校の体育館が、有料の催物には貸せない、と校長に断わられてしまった。急を聞いて秀子が盛岡から飛んで来たが、校長の答は変らない。秀子は遂に最後の条件を切り出した。「無料ならいいんですね」「勿論です」無謀とも思える秀子の提案。しかし、秀子は、自分達は金儲けのために芝居をしているわけではない、無料で公演するのは苦しいけれど、芝居を楽しみにしている人たちのために中止することはできない、と言って校長室を出た。今回に限り特別に許可する、という校長の許可を聞いたのは、秀子が校門を出てすぐだった。公演は大成功だった。千人を超える人々が集ってくれた。劇団員の歌うお別れの歌を青年達は泣きながら聞いた。八幡平に秋が来た。山肌は紅葉に色どられ、遥か彼方、岩手山の頂上には、もう初雪が白く光っている。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5山田洋次監督の描いた青年たちの姿

2023年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

農村の青年たちと劇団青年たちが、数多くの困難を乗り越えて、農村での演劇公演を作り上げる姿を描いた山田洋次監督作。
1975年作品であり、山田洋次監督としては『男はつらいよ』シリーズが始まって、『家族』&『故郷』という佳作に続けて撮った映画で懐かしさを感じる風景が見られる。
笑いあり、ところどころで感動あり、の映画。

岩手県松尾村という所に、「劇団の公演を村の青年会が主催してみないか」という話を劇団メンバー(倍賞千恵子)が村の青年会長(寺尾聰)に持ちかけるところから始まる。
そして、様々な出来事が起こるのだが、挫折と希望の入り混じる物語は素敵だ。

本作には山田組の俳優たちが大勢出演しており、井川比佐志、三崎千恵子、杉山とく子、下條正巳など多数のほか渥美清まで。
また、大滝修治がさすがの存在感を見せる。

撮影監督は高羽哲夫なので、山田洋次監督作品群で「ときどき、ハッ!…とするような美しい風景を捉えた場面」が冴える。

演劇で歌われる曲が耳に残るなかなかの佳作。

<映倫No.18400>

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たいちぃ

3.5劇団経営の困難さに同調した山田監督の地方文化映画

2022年7月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

厳しい経営が常態化したある劇団の地方公演の苦難をドラマ化した山田洋次監督の佳作。男はつらいよシリーズ以外では、「家族」「故郷」に続く地方を舞台にした題材で、内容的には新鮮味はないが、綺麗に纏めている。一つの事に打ち込む青春期特有の青臭さをもつ劇団の苦労話に終わっているのが物足りなさでもあり、また感動的でもあるのが特徴。

  1975年  郡山松竹

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Gustav

2.0統一劇場の統一とはいったいなにを意味する言葉か? 何故に組織部という名前なのか? ご自分で調べて、自分の頭で考えて欲しい

2021年1月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

嫌なものを観た
ステマ
ステルスマーケティングそのものだ
単に劇団の宣伝なら別段のことはない
巧妙に隠されていることがある
統一劇場の統一とはいったいなにを意味する言葉か?
何故に組織部という名前なのか?
どうして青年会のジープは赤い旗を掲げて走るのか?
ご自分で調べて、自分の頭で考えて欲しい

この時代からもう一周も二周も回って、このような農村や学校への共産党の浸透工作の実態を知る人間もいなくなっている
ネットで調べてもわからないだろう
簡単に洗脳される人もでるのではないか
なまじ感動するだけに始末に悪い

危ういと思った

題名の同胞とは、本当は「同志」としたかったのだろう
それではバレてしまうから同胞なのだ

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あき240

4.0代償

2018年12月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2018/12/9日曜日
昨夜は早くに寝てしまい早朝4時半に目覚めた
DVDデッキには昨夜見ようとして入れていたこの映画が
布団の中からリモコンを探し電源を入れる
まだ頭がぼ〜っとしている中で始まる映画にグイグイと引き込まれて行く
熱意のある劇団の人、纏まらない村の意見
いつのまにか一丸となって成功へと進む同士になる
「はらから」
知らない言葉だった、辞書によると「同じ母のハラカラ生まれた間柄」とか何とか書いてありました
同胞とはそんな意味があったのだな〜〜

田舎を飛び出してもう30年以上経つ
地元で生きる若者たちの様は今の自分と真逆な生き方で時折考えてしまう
もしも自分が地元にいたらと、残っていたらこんな事も経験できたのかもしれないなって
同い年が年中顔を合わせともに歳をとり笑ったり泣いたりしてたのかなって
自由と引き換えにした代償はどれほどのものだったのだろうかってね

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カルヴェロ
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