劇場公開日 1993年12月18日

「虚無感と喪失感、バブル崩壊とコロナ」ヌードの夜 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0虚無感と喪失感、バブル崩壊とコロナ

2020年4月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

1993年公開
バブル崩壊による虚無感と喪失感をこれほど真正面からテーマに取り上げて成功している映画はないと思います

土屋名美と村木哲郎の二人の物語であり天使のはらわたのシリーズで有ることを示しています
本当は「天使のはらわた~ヌードの夜」なのだと思います

余貴美子がとにかく素晴らしい
石井隆監督が劇画家時代にかいたエロ劇画の中の名美がそのまま実体化したかのような美貌、エロい肢体で、劇画の雰囲気をそのままに発散しています
そのエロ劇画は遠い遠い昔のことで何もかも忘れていても、劇画家時代の監督の高い画力によって細密に描かれた、女のの肉の弾力、重さ、湿りが感じられる程のエロい表現を、余貴美子の名美は一瞬で蘇えらせる力があります

竹中直人の怪演も素晴らしい
ファムファタルに出会い運命が狂った男をこれ以上はないレベルで演じています
パーフェクトです

ヌードの夜とは、エピローグの名美との性交の幻想を指すのでしょう

しばらく余韻で何も考えられなくなりました

コロナショックの虚無感と喪失感に通じるものがあると思います

あき240