憎いあンちくしょう

劇場公開日:

解説

「上を向いて歩こう」の山田信夫のオリジナル・シナリオを「銀座の恋の物語」の蔵原惟繕が監督した青春ドラマ。撮影はコンビの間宮義雄。

1962年製作/104分/日本
原題:I Hate but Love
配給:日活
劇場公開日:1962年7月8日

ストーリー

北大作はマスコミから追いまわされる「現代のヒーロー」で、映画出演、テレビ座談会、司会、原稿執筆等々、一分一秒まで予定で埋っている。そんな彼を支配するのは、マネジャー兼恋人の榊典子という近代娘。二人は二年前から「ある瞬間」がくるまで、指一本ふれないという約束をかわしている。時間で動く機械のような生活に倦怠を感じている大作の前に、井川美子が現れて情勢は一変した。「ヒューマニズムを理解できるドライバーを求む。中古車を九州まで連んでもらいたし。但し無報酬」という奇妙な三行広告が、大作の受け持つテレビ番組とりあげられたのが事の始まり。美子の恋人で医師の敏夫は、九州の片田舎に住んでもう二年も離れたままだが、今なお二人の間には純愛が続いている。大作の体中の血がたぎった。「僕が運びます!」彼が本番最中のテレビ・スタジオを飛び出したので、典子やディレクターの一郎は大あわて。典子はスポーツ・カーで、ジープを飛ばす大作を追った。いち早くこの事件から新番組を企画した一郎たちの取材班、新聞社の車がそれに続いた。静岡、豊橋、名古屋、京都--。典子は愛する大作の突飛な行動を正当化し、話題の焦点にしようと一芝居打つが、それは失敗に終った。大作の心には、井川美子の純愛をたしかめることしかないのだ。幾多の困難を排してジープは一路九州へ。福岡の山笠まつりの混乱の中で、群衆にもまれた典子は大作に救い出された。大作は典子との間にあった倦怠が崩れ、ついに「ある瞬間」がやってきたのを知った。阿蘇の大噴火口を越えると、目的地は近い。洗川村では美子と敏夫が大作を待っていた。ジープを渡した大作は、東の空にのぼる太陽を見つめて、典子に叫んだ。「さあ、きょうから僕たちの第一日目だ!」と--。

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映画レビュー

これは、傑作。アキラと別れたルリ子が、本能丸出しで見事。

2021年2月19日
スマートフォンから投稿

この後、ゆーじろーは、黒部の太陽やら、太平洋ひとりぼっちやら、栄光への五千キロなど、お遍路ムービーが続く。銀恋、の松本行き夜行の場面も生々しくて良かったが、阿蘇の、緑の中で、抱き合う獣じみたラストシーンが、うつくしい。傑作だぁ。

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みすずあめ

3.5これだけは、か、これも、かは知らないけど、これは面白かった。

2020年9月7日
PCから投稿

これだけは、か、これも、かは知らないけど、これは面白かった。
昔キネマ旬報かなんかにこれは脚本がよく書けているという記事があったので見てみた。そしたらなるほどこれは面白かった。人間ドラマがよく描けていて、何と言うかきちっとした映画だなと思った。当時、私には映画にすげー詳しい友人がいてそいつが「憎いあんちくしょう」だけは面白いと言っていた。だから私は今でも日活の一連の石原裕次郎作品ではこれだけが面白いんじゃないかと思っている。とにかく日活の一連の石原裕次郎作品は駄作がいっぱいあるので誰かが面白いと推薦してくれないと見れない。
これは面白いのでぜひ見てください。

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タンバラライ

4.5日本最初の本格的ロードムービー 傑作です!アイドル映画でしょと思ってたらもったいないです

2020年6月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

これは面白い!
日本映画の本格的ロードムービーです
ロードムービーと言えば、どうしてもアメリカ映画を思い浮かべてしまいます

やはり国土の広さの圧倒的な違いでしょうか?
とはいえ日本だって結構広いもんです
たとえば黄色いハンカチ、家族とかあります
東京物語だってロードムービーともいえます
本作は東京物語を除くと恐らく日本最初のロードムービーだと思います
そして自動車でのロードムービーは本作が日本初だと思います
やはりロードムービーは自動車で移動してこそです

60年経った21世紀の今日でも東京から阿蘇山の山村まで1500キロを車でそれも2台が追いつ追われつする本格的なロードムービーは未だに無いと思います

1962年の日本各地の光景
それだけでも見ものです!

東京、冒頭は昔有楽町に在ったというラジオのニッポン放送のスタジオから始まります
東京オリンピック前の都心の光景も楽しいです

そしてとあることから、台東区のどこかの下町の公営住宅、といっても木造アパートの前から、
石原裕次郎が中古のオンボロジープで出発します
そして浅丘ルリ子が銀色のジャガーのスポーツオープンカーで追いかけます
どちらも屋根がない車という設定なのは、映画としてスターを出来るだけ映像に写るようにする為の工夫で意図的なものでしょう
大変効果的です

公開は1962年7月8日
撮影は梅雨入り前から梅雨明けにかけてだったと思われます
劇中でも冒頭は眩しい初夏の陽光が、その後は雨のシーンが続きます
本降りの雨の中をずぶ濡れになりながら石原裕次郎と浅丘ルリ子が銀色のジャガーのオープンカーで都心を疾走するシーンは素晴らしいシーンです
青春!って感じがします
そして九州への長距離ドライブはずっと曇天だったり雨です
1962年の国道は大都市内は舗装してあるものの、郊外にでると未舗装でガタボコ道です
雨が降れば泥にぬかるみ、晴れると土埃を上げています
ガードレールも見当たりません
九州の山中に入るともうインディージョーンズのような事態に陥ります

箱根、浜名湖、名古屋栄、京都三条大橋、東寺境内、大阪駅前、
大阪ではマスコミと群集に取り巻かれて大騒動です
明石フェリーで淡路島、四国、宇高連絡フェリーで本州に戻り、そして尾道にも寄ります!

大林宣彦監督の作品で見慣れた風景が画面に飛び込んで来ます
あの夏、飛んでろじいちゃんで重要なモチーフになった向島大橋はもちろん影も形もありません

浅丘ルリ子の乗るジャガーが海岸沿いのガソリンスタンドで給油して、国道をちょっと左折します
なんと大林宣彦監督作品のふたりで登場した料亭旅館魚信です!
彼女はそこで一泊し、石原裕次郎は向かいの旅館に泊まります

そして関門トンネルを抜けて博多に入ります
ちょうど7月初めの博多どんたくに突入してしまい、大群衆に揉みくちゃにされ立ち往生しまいます
60年前の博多どんたくの光景は、まるでエマニュエル夫人でみたバンコクの旧市街の市場の光景のようにエキゾチックです

ロードムービーの肝は、目的地までの道中の中で
登場人物達が何かを感じ、目的地に着いた時に変わっていることです

本作にはそれがあります
カタルシスがあります
本当の愛とは何か?
本作の主人公の二人はそれを見いだすのです

良くできた脚本で21世紀の現代でもそのまま使えそうな位です

現代は高速道路が日本中に張り巡らされてしまい、長距離ドライブの大変さがあまり伝わらないのはいかんともし難いです
カーナビもスマホもありますしね

それでも移動する距離が人を変えるのは確かだと思うのです

日本最初の本格的ロードムービー
傑作です!アイドル映画でしょと思ってたらもったいないです

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