夏の別れ

劇場公開日:

解説

ヨットに憧れる少年の胸を走りすぎて行ったひと夏の出来事を描く。脚本家、中島丈博がライターの立場から映画を製作するために設立した中島丈博ぷろだくしょん第一回作品。脚本は「五番町夕霧楼(1980)」の中島丈博、監督はこの作品がデビュー作となる東映出身の井上眞介、撮影は小林達比古がそれぞれ担当。

1981年製作/100分/日本
配給:東映セントラルフィルム
劇場公開日:1981年10月10日

ストーリー

真夏の湘南海洋。十八歳の須田浩は高校卒業後も、さしたる目的もなく無気力な毎日を送っている。浩は、海岸の喧噪を無視するかのように仲に浮かぶ豪華な帆船に向って泳ぎだした。そこで彼は、さんさんと降りそそぐ大陽の下で、アポロのような男と、ヴィーナスのような女のセックスを見た。開放的かつ健康的な男女の交りは、今日まで浩が抱いていたセックスのイメージを打ち砕いた。この一瞬から、浩は自分のヴィーナスを求めはじめた。浩に思いを寄せる少女に誘われて付いて行った彼は、途中、ヴィーナスに出会った。彼女の名は磯村響子という売れっ子のファッションモデル。浩は執拗に接近するが、響子は相手にしない。そこへ、田というルポライターの男が現れ、浩の積極的な行動に彼女の男性遍歴を話した。その話に、ますます想いをつのらせる浩のアタックは幸運にも、響子との一夜のベッドインとなった。しかし、数日後、浩は海辺のレストランのテラスで深刻な顔で向いあっている響子と田の姿を目撃する。田と響子の間には、かって深い関係があり、今、それは冷たいものとなっていた。暫くして、浩に再び響子と会えるチャンスがめぐってきた。沖に浮かぶ帆船に向って、浩は泳ぎ出した。そして、船の中で、浩は血まみれになって死んでいる響子と田の二人を発見した。二人は自殺したのか。浩は愕然とするだけたった。浩の夏が終ろうとしている。

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映画レビュー

2.0挑戦的なストーリーが表面的に終わる青春映画

2020年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

ヨットとファッションモデルに憧れる高校男子生徒が経験するひと夏の恋と性を鋭角的に描いた青春もの。だが、全てのシチュエーションが既視感のある定石のパターンで新鮮味がない。また、バックグラウンドである家族の描写が日本映画の欠点そのままで、そこに演出の意図や作者の価値観などが反映されておらず、本筋の挑戦的なストーリーが表面的に終わる。例えては申し訳ないが、フランス映画の「青い麦」やアメリカ映画の「おもいでの夏」のような大人の視点や繊細な映画タッチとは、大分かけ離れたところの映画制作と評価せざるを得ない。
  1983年 10月1日

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Gustav