劇場公開日 2019年8月3日

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「東京裁判の意味を知った」東京裁判 エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5東京裁判の意味を知った

2019年8月15日
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鑑賞方法:映画館

1983年の公開時に見逃してから36年が経った。ようやく(4Kデジタルリマスター版で)観ることができた。4時間37分の長尺を耐えられるかと危惧したが、4時間37分では足りないと思うほど充実した内容だった。釘付けになった。

東京裁判を中心に日露戦争以降の日本を、そしてこの裁判以降も戦火の絶えない世界を俯瞰する。

東條英機を始めとする当時の幹部たちの姿を鮮明に見れるだけでも価値があるのだが。弁護団や一部の判事の戦争や法律に対する普遍的な考え方に驚かされる。1948年だというのに……

それにしてもよく完成させたと思う。残された膨大なフイルムから何を切り取り、どう繋ぎ、何を語るのか……考えただけで気が遠くなる作業だが、さすが小林正樹、驚愕のドキュメンタリーとなった。日本映画史においても稀に見る労作であり傑作だ。

エロくそチキン
エロくそチキンさんのコメント
2019年8月16日

gachonさん、熱いコメントをありがとうございます。私も今作から本当に多くのことを多くのことを学びました。特にアメリカの弁護士の言葉が印象に残っています。戦争は犯罪ではない、広島や長崎に原爆の投下を命じた者が裁かれることがないのと同様に彼らは無罪であると。これは母国の大統領を辛辣に揶揄する発言であり、人道を問う裁判の根幹にふれる発言でした。

エロくそチキン
gachonさんのコメント
2019年8月16日

長時間の観賞お疲れさまでした。私が36年前にみた記憶でしゃべりますが、戦勝した連合国側によって裁かれたこの裁判を戦争につながる経緯や当時の国際情勢がわかる映像も使って、なぜ戦争に至ってしまったのか、戦争責任は 正しく裁かれたのかを大学生だった私は強く感じて劇場を出ました。大正デモクラシーのリベラルな日本から浜口内閣のロンドン軍縮条約まで大衆は民主的な政治を迎合していたはずが、満州事変、515事件の犬養首相暗殺による政党政治の実質的終焉、昭和恐慌で暮らしが苦しかったとはいえ民衆は挙国一致体制に迎合していく姿にぞっとしました。2年前に私は小林正樹監督の「人間の条件」5部作を映画館で観賞し、理不尽な戦争に巻き込まれ最後まで人間らしく生きた主人公の梶(仲代達也)に対して(小林監督も従軍していた体験があり魂がこもっていました)、裁判を裁く側、裁かれる側とも、外交で戦争を避ける配慮はもっとできなかったのか、小林監督が「東京裁判」を作った意味はそこにあると思いました。いま、そこにある危機に気付いてもらうためにどうしてもみてほしい作品です。

gachon